

ドアノブを触った瞬間に、バチッと走る静電気。
空を引き裂くように光る雷。
そして、コンセントから当たり前のように供給される電気の力。
私たちの身のまわりには、本当にたくさんの電気があふれています。
あまりにも日常的すぎて、普段は意識することすら少ないかもしれません。
でも、ふとこんな疑問が浮かんだこと、ありませんか?
「電気って、そもそも誰が発見したの?」 「いつごろから、人は電気を知っていたの?」
考えてみると、ちょっと気になりますよね。
とはいえ、実は「電気の発見者はこの人です!」
──と一人の名前を挙げるのは、少し語弊が出やすい言い方でもあります。
電気は“ある日突然発見されたもの”ではなく、人類が少しずつ認識を深めてきた自然現象。
だからこそ、「誰が発見したか」ではなく、 人類が電気をどう理解していったかという段階で見るほうが、ずっと分かりやすいんです。
その視点で歴史をたどると、特に重要な人物として、次の3人が浮かび上がってきます。
それぞれの時代で、彼らは「電気らしきもの」をどう捉え、どんな一歩を踏み出したのか。
このあと、 なぜこの3人が重要なのか、そしてどんな功績を残したのかを、順番に紹介していきますね。
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古代ギリシャの哲学者タレス
琥珀をこすった際に発生する静電気に注目し、電気現象の研究の先駆けとなった。
出典:Photo by Ramberg, Johann Heinrich / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
いちばん最初の段階に立っているのが、古代ギリシアの哲学者タレスです。
彼がしたことは、今の感覚でいえばとてもシンプル。 「琥珀をこすると、軽い物を引き寄せる」
──この現象に、ちゃんと意味があると気づいたことでした。
電気の歴史は、「変な現象があるぞ」と気づくところから始まった。
当時はもちろん、電気という言葉も、理論も、説明の道具もありません。
それでもタレスは、「これは偶然じゃない」
「自然には、何か一貫した仕組みがあるはずだ」
と考えました。
電気を理解したわけではない。
でも、 不思議な現象を“考える価値のあるもの”として扱った。
この姿勢そのものが、後の科学につながる最初の一歩だったんです。

ルネサンス期の科学者ウィリアム・ギルバート(1544–1603)
摩擦による帯電現象を体系的に研究し、「electricus」という概念を導入することで電気を自然現象として捉える基礎を築いた。
出典: Wellcome Collection / CC BY 4.0より
次に大きな前進をもたらしたのが、ルネサンス期の学者ウィリアム・ギルバートです。
彼の功績は、電気現象を分類し、言葉を与えたこと。
これが、とても重要でした。
それまで、琥珀の引き寄せも、磁石の働きも、なんとなく同じような不思議現象として扱われがちでした。
でもギルバートは、実験を重ねる中で、 「電気的な現象」と「磁気的な現象」は別物だ
とはっきり切り分けます。
さらに、琥珀(エレクトロン)に由来する 「electricus(電気的な)」という概念を導入。
ここから「electricity」という言葉が生まれました。
名前が与えられた瞬間、電気は“神秘”から“研究対象”に変わった。
これは、電気が学問としてスタートラインに立った瞬間でもあります。

雷実験で有名なベンジャミン・フランクリン
雷が静電気と同じ性質をもつ電気現象であることを凧を使った実験によって実証。
その成果が避雷針の発明へもつながった。
出典:Le Roy C. Cooley /Wikimedia Commons Public Domainより
そして3人目が、ベンジャミン・フランクリンです。
彼の決定的な功績は、 雷と電気を同じ自然現象として結びつけたこと。
当時、雷はまだどこか特別な存在でした。
恐ろしく、制御不能で、人の手が届かないもの。
フランクリンは、凧を使った有名な実験によって、雷が実験室で扱っていた電気と同じ性質を持つことを示します。
これによって、空で起きる現象と、地上で観察していた現象が、 一本の線でつながりました。
雷が「説明できる自然現象」になった瞬間、電気は世界と接続された。
ここから電気は、珍しい現象でも、哲学的な思考実験でもなく、 自然法則の一部として扱われるようになります。
タレス/ギルバート/フランクリンが、それぞれ何を「発見」したのか。
ここまで読んで、だいぶ輪郭が見えてきたのではないでしょうか。
正直に言ってしまうと、電気研究の歴史における重要人物は、他にも本当にいくらでもいます。
ファラデー、マクスウェル、ボルタ、エルステッド、エジソン、テスラ…名前を挙げ始めたら、きりがありません。
でも、ここで立てている問いは、「誰が便利な装置を作ったのか」ではありません。
「電気という存在を、この世に立ち上げたのは誰か」
という、少し視点を引いた問いです。
電気は“発明されたもの”ではなく、「そういう自然現象だ」と人類に認識されていった存在。
そう考えると、やはり中心に据えられるのは、この3人になります。
この3人によって、人類の電気観は、はっきりと段階を踏んで進みました。
ただの不思議な現象だったものが、学問として切り出され、やがて自然全体を説明する法則の一部になる。
この流れがあったからこそ、後に続く研究者たちが、「測れる」「計算できる」「設計できる」電気を扱えるようになったんです。
そういう意味では、ファラデーやマクスウェルたちは、すでに“立ち上がった電気”を、どこまで深く、どこまで遠くへ運べるかを切り拓いた人たち。
でも、 そもそも電気を「存在として成立させた」という観点に立つと、やはりタレス/ギルバート/フランクリン。
この3人に話は収束していく、そう言えるわけですね。
電気ってのはよ、古代の観察から近代の実験、そして19世紀の発明によって「使える力」に変わったんだぜ!数多の偉人たちの発見が積み重なって、今の便利な電気生活が成り立ってるってわけだ、覚えとけよ!
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