摩擦で帯電するのはなぜ?

摩擦で帯電する理由

摩擦によって物質同士が接触し、電子が一方から他方へ移動することで電荷の偏りが生まれる。これにより一方が正、他方が負に帯電する状態が生じる。特に異なる素材同士では電子の移動が起こりやすい。

摩擦で帯電するのはなぜ?

服を脱いだとき。
風船をこすったとき。
ドアノブに触れる前の、あのイヤな予感。
あれ、地味に心の準備が要りますよね。


「こすっただけなのに、なんで電気がたまるの?」


そう思ったこと、きっとあるはずです。
目に見えないのに、確かに“起きてる感”だけは強い。そんな現象です。


でもこれ、偶然でも不思議現象でもありません。 ちゃんと理由があって、ちゃんと再現できる
だからこそ、同じ季節に何度も起きるわけですね。


ここでは、 摩擦で帯電が起きる仕組みを、段階ごとに整理して見ていきましょう。



こすると電子が動くから

摩擦帯電の例

摩擦帯電した金属棒が紙片を引き寄せる様子
こすり合わせで電子の受け渡しが起き、片方がプラス/もう片方がマイナスに偏る。帯電した物体は周囲の電荷を引き寄せ、紙片など軽いものを引き寄せる現象として観察できる。

出典:『Charge on rubbing,jpg』-Photo by Aswathi Jyothikumar/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


摩擦で帯電が起きる最大の理由。
それは、電子が動いてしまうからです。


物をこする。
それだけ聞くと、ただの動作に思えますよね。


でも電子の目線で見ると、これはけっこうな事件。
表面では、目に見えない小さな移動が、確実に起きています。


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物の表面で電子が移動する

電子は、物の内部にがっちり固定されている存在ではありません。


特に表面にいる電子は、わりと身軽。
こすられることで、別の物へふっと移動してしまうことがあります。


この小さな移動が、帯電のスタート地点。
すべてはここから始まります。


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素材ごとに電子の動きやすさが違う

とはいえ、すべての物が同じように
電子を手放すわけではありません。


素材によって、電子をしっかり引き留めるものもあれば、逆に、あっさり手放してしまうものもあります。


この性質の差が、「帯電しやすい」「しにくい」を分けるポイント。
素材の違いが、結果を左右するわけです。


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こすれで電子が引きはがされる

摩擦が起きると、物の表面どうしは、何度も接触しては引きはがされます。


その瞬間、 電子だけが片方に残ることがある。
これが、摩擦帯電の正体です。


ほんのわずかなズレ。
でもそれが積み重なると、はっきり「帯電」と呼べる状態になります。


摩擦で帯電が起きるのは、こすられることで物の表面の電子が移動してしまうからです。


素材の組み合わせが関係する

摩擦帯電は、「こすったかどうか」だけで結果が決まる単純な現象ではありません。
ここ、わりと誤解されやすいポイントです。


本当に重要なのは、 何と何をこすったか
つまり、素材どうしの関係性です。


同じ手の動き、同じ力加減でも、素材の組み合わせが変わるだけで、帯電の結果はガラッと変わります。
ここに、摩擦帯電ならではのクセがあります。


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電子を手放しやすい物がある

世の中には、電子をあまり強く引き留めない素材があります。


こうした物は、こすられると、電子を相手側へスッと渡しやすい性質を持っています。


その結果、 自分は電子を失う側になり、 プラスに帯電しやすくなる、というわけです。


  1. 電子が減る。
  2. だからプラス。


理由はとてもシンプル。
「持っていた電子が減った」──それだけです。


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電子を受け取りやすい物がある

一方で、電子をしっかり抱え込む素材も存在します。


プラスチックやゴムなどは、その代表例。
これらは電子を受け取ると、なかなか手放しません。


結果として、 電子を受け取る側になり、 マイナスに帯電しやすくなります。


  1. 電子が増える。
  2. だからマイナス。


こちらも考え方は同じ。
増えたか、減ったか。
ただそれだけの話です。


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帯電列という「並び順」がヒントになる

帯電列(トライボエレクトリック・シリーズ)の図(正に帯電しやすい物質から負に帯電しやすい物質まで)

帯電列(摩擦帯電の起こりやすさ順)
異なる物質を摩擦帯電させたとき、電子を失ってプラスに帯電しやすい側と、電子を受け取ってマイナスに帯電しやすい側を順に並べた一覧。帯電列の中で位置が離れている素材同士ほど摩擦による電子移動が大きくなり、結果として静電気が強く現れやすい。

出典:『Triboelectric-series EN』-Photo by MikeRun/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


では、どの素材が電子を手放しやすく、どの素材が受け取りやすいのか──その目安になるのが、 帯電列という考え方です。


帯電列とは、「電子を失いやすい素材」から「電子を受け取りやすい素材」までを、一列に並べたもの。


この並びを基準に考えると、帯電の向きがとても読みやすくなります。


組み合わせで帯電の向きが決まる

結局のところ、 どちらがプラスになるか、 どちらがマイナスになるかは、 素材どうしの組み合わせで決まります。


摩擦帯電では、単体の性質ではなく、帯電列上での「相対的な位置関係」が結果を左右します。


同じ「こする」という動作でも、帯電列で離れた素材どうしを組み合わせれば、帯電ははっきり起きやすい。


逆に、帯電列で近い素材どうしなら、ほとんど帯電しないこともあります。


この差が、摩擦帯電のおもしろさであり、ちょっと直感に反するところでもあります。


摩擦帯電は、素材どうしの性質と帯電列上の位置関係によって、プラスとマイナスの向きが決まる現象です!


電気が逃げにくいと帯電が残る

Static on the playground (48616367)

静電気によって逆立つ髪の毛
トランポリンで髪が逆立つのは、摩擦による帯電とゴムによる絶縁が重なり、電荷が逃げずに蓄積するため。さらにジャンプ動作が放電の機会を減らし、効果を強めている。

出典:Ben KerckxによるPixabayからの画像より


 


実は、電子が移動しただけでは、帯電は長続きしません。


動いた電子が、すぐに逃げてしまえば、バランスはすぐ元通り。
帯電は成立しないんです。


逃げ場がない
この条件がそろって、はじめて帯電は「残る」状態になります。


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乾燥していると電気が逃げない

空気が乾燥していると、電気は空気中へ逃げにくくなります。


冬に静電気が多いのは、まさにこのため。
湿度が低いほど、電子はその場にとどまりやすく、帯電は解消されにくくなります。


加湿した部屋で
静電気が減るのも、ちゃんと理由があるんですね。


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絶縁体は電気を通しにくい

プラスチックやゴムなどの
絶縁体は、電気を通しにくい性質を持っています。


つまり、電子が動いても、どこかへ流れていきにくい。
その場に、とどまり続けやすい。


電気が逃げにくい素材ほど、帯電は長く残ります。


だからこそ、絶縁体は帯電しやすい。
これも、摩擦帯電の重要な条件です。


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たまった電気がそのまま残る

電子が移動し、しかも逃げ場がない。
この状態がそろうと、帯電はそのまま維持されます。


そして、金属に触れた瞬間など、逃げ道が突然できると──
放電。
あの「バチッ」につながるわけです。


摩擦で生じた電気は、乾燥や絶縁体などの条件がそろうと逃げにくくなり、帯電として残ります。


 


摩擦で帯電する理由は、特別な現象ではありません。


電子が動き、素材の性質が影響し、逃げ場がなくなる。
この積み重ねです。


仕組みがわかると、静電気も、ちょっとだけ冷静に見られるようになりますよ。


摩擦で帯電するのはよ、こすった勢いで電子が一方からもう一方へ移動するからなんだぜ!ただ触れてるだけじゃ起きねぇのに、「こする」って動きがカギだったってわけだ…。これで「パチッ」の理由がスッキリわかっただろ!