

「生体電流が体の中を流れている」って聞くと、だんだん次の疑問が浮かんできませんか?
「じゃあ、その電気って……いったいどこから来てるの?」
ここ、かなり大事なポイントです。
そしてその答えに深く関わっているのが、ミトコンドリアという、とても小さな器官なんです。
名前は聞いたことがあるかもしれませんね。
「細胞の発電所」なんて呼ばれたりもします。
でも実はそれだけじゃない。
このミトコンドリア、生体電流の土台とも言える存在なんです。
体の中で電気が生まれ、流れ、使われる背景には、ミトコンドリアの働きが深く関わっています。
しかも、話はここで終わりません。
このミトコンドリア、研究をさかのぼっていくと、「もともとは、別の生き物だったのでは?」
という、ちょっとSFみたいな説にたどり着くんです。
細胞の中に住み着いた元・独立生物。
その名残が、今も私たちの体の中で働いている。
そう考えると、なんだかロマンがありますよね。
このページでは、 生体電流の源ともいえるミトコンドリアの正体と、 なぜそんな不思議な起源が語られているのかについて、専門用語はできるだけ控えめにして、順を追って解説していきます。
「電気の話なのに、生き物の歴史にもつながっていく」
そんな意外な展開を、ぜひ楽しみながら読んでみてください。
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ミトコンドリアの構造模式図
1.内膜 2.外膜 3.クリステ(平板状) 4.マトリクス
内膜に生まれる膜電位とイオン勾配が、ATP合成と細胞の電気的な土台を支える。
出典:『Mitochondrie』-Photo by Tatoute/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
ミトコンドリアは、私たちの細胞の中にある、とても小さな構造体(細胞小器官)です。
サイズは小さいですが、役割は超重要。
その働きから、よく「細胞の発電所」なんて呼ばれています。
「発電所って言われてもピンとこない……」
そんな方も大丈夫。
順番に見ていきましょう。
ミトコンドリアのいちばんの仕事は、食べ物から取り入れた栄養を分解して、ATP(アデノシン三リン酸)という物質を作り出すことです。
このATP、イメージとしては体内専用のエネルギー通貨。
「動きたい」「考えたい」「信号を出したい」
そんな要求が出るたびに、ATPが支払われていきます。
ATPがなければ、体は一瞬たりとも正常に動けません。
作られたATPは、体のあちこちで使われます。
神経が電気信号を出すとき。
筋肉がギュッと収縮するとき。
心臓がリズムよく拍動するとき。
これらすべてに、ATPが関わっています。
つまり、神経を走る生体電流も、その背景にはATPというエネルギーの支えがあるんです。
ここで、話が一本につながります。
生体電流が流れる
→ 神経や筋肉が働く
→ そのエネルギーを生み出しているのがミトコンドリア
という流れですね。
ミトコンドリアはATPというエネルギー通貨を生み出し、その力で神経の電気信号や筋肉の動きを支えています。生体電流が働くための土台には、ミトコンドリアの活動がしっかり存在しているのです。

細胞内共生説の図解
祖先の真核細胞が好気性細菌を取り込み、共生が固定化して細胞小器官になった流れを示す。
出典:『Endosymbiosis evolution diagram』-Photo by Mrmw/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0
ここからが、ちょっとビックリするお話です。
実はミトコンドリア、もともとは「自由に生きていた細菌だったのでは?」
という説があるんです。
「え、細胞の中の部品じゃなかったの?」
そう思いますよね。
でもこの話、わりと本気で研究されている有力説なんですよ。
ミトコンドリアは、細胞の一部というより「元・独立生物の同居人」かもしれないのです。
この考え方は、細胞内共生説と呼ばれています。
内容をざっくり言うと、こんなストーリーです。
取り込んだ側は、「効率のいいエネルギー生産装置」を手に入れた。
取り込まれた側は、「安全で栄養のある住処」を手に入れた。
こうして共生関係が固定化され、その名残が、今のミトコンドリアだと考えられているんです。
もちろん、「完全に証明された事実」というわけではありません。
でも、この説が有力視される理由は、いくつもあります。
そのひとつが、ミトコンドリアが独自のDNAを持っていること。
しかもこのDNA、細胞核のものとは性質がかなり違います。
さらに、ミトコンドリアは増えるとき、 細胞の指示を待たずに、自分で分裂します。
まるで、「昔は一人で生きてましたけど?」と言わんばかり。
細胞の中にいながら、どこか“別枠感”がある存在。
その振る舞いが、「元・細菌説」を強く後押ししているんですね。
こうして見ると、生体電流の源に関わるミトコンドリアは、単なる部品ではなく、生命の歴史そのものを背負った存在だと言えるのかもしれません。

EMS機器を使用したトレーニングの様子
生体電流による筋肉刺激は細胞内でのエネルギー需要を高め、ATPを生み出すミトコンドリアの働きを活性化させることで、トレーニング効果を高めている。
出典:Photo by Gciriani / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
ミトコンドリアがしっかり働いてくれているおかげで、私たちはエネルギーを生み出し、生体電流を維持し、体も心もシャキッと動かすことができています。
逆に言うと、ミトコンドリアの調子が落ちると、「なんとなく不調」が一気に表に出てきやすくなるんです。
ストレスが続いたり、栄養が偏ったり、体をほとんど動かさなかったり。
こうした状態が重なると、ミトコンドリアのはたらきは少しずつ弱まっていきます。
その結果、次のような変化が起こりやすくなります。
ここからは、それぞれをもう少しだけ具体的に見ていきましょう。
ミトコンドリアが元気をなくすと、ATPの生産量が落ちます。
すると、同じことをしていてもエネルギー切れを起こしやすくなるんですね。
「寝ても疲れが抜けない」「すぐ横になりたくなる」と感じる場合、背景にミトコンドリアの不調があることも少なくありません。
脳は、体の中でも特にエネルギーを大量に使う臓器です。
ミトコンドリアのはたらきが落ちると、神経の電気信号のキレも鈍くなりがち。
集中力が続かない、考えがまとまらない、そんな感覚につながることがあります。
ミトコンドリアは、エネルギーを作る過程で熱も生み出しています。
そのため、調子が落ちると体温を保ちにくくなり、手足が冷えやすくなることも。
「血行が悪い気がする」と感じる背景にも、ミトコンドリアの状態が関係している場合があります。
筋肉は、動くたびに大量のATPを消費します。
ミトコンドリアが元気をなくすと、筋肉が粘れなくなり、衰えやすくなるんですね。
運動不足と重なると、さらに悪循環に入りやすい点も要注意です。
体を修復したり、免疫細胞を働かせたりするにも、エネルギーは欠かせません。
ミトコンドリアの機能低下は、回復の遅れや体調不良の長期化につながることがあります。
「治りにくい」「調子が戻らない」と感じるときも、体内のエネルギー事情を見直すヒントになります。
ミトコンドリアの元気は、生体電流とエネルギーの安定に直結しています。疲れやすさや不調が重なるときは、体の中の発電所が弱っていないか、という視点で見てみることも大切です。
生体電流の話をたどっていくと、その行き着く先にあったのが、ミトコンドリアという小さな存在でした。
体の中を流れる電気は、突然どこかから湧いてくるものではなく、ミトコンドリアが生み出すエネルギーの積み重ねの上に成り立っています。
ATPを作り出し、神経の電気信号や筋肉の動きを支え、さらには「元・細菌かもしれない」という進化の記憶まで背負っているミトコンドリア。
それは単なる細胞の部品ではなく、 生体電流・エネルギー・生命の歴史をつなぐ要の存在だと言えるでしょう。
体が動くこと、考えられること、回復できること。
そのすべての土台に、目には見えない「細胞の発電所」がある。
そう考えると、生体電流もミトコンドリアも、ぐっと身近で、ちょっと感慨深い存在に見えてきますね。
ミトコンドリア?そいつは体内発電のエースだ!しかも昔は自由に生きてたバリバリの細菌様!?今じゃ体の中でセッセと電気エネルギー作ってくれてるってんだから、敬意を払えよな!
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