雷で発電できるの?エネルギー利用の限界を知る

雷で発電できるのか

雷のエネルギーは非常に大きいが、一瞬で終わるうえに制御が難しく、発電には不向きとされている。現在の技術では雷を安定的に捕らえて電力に変換することは困難である。理論的には可能でも、実用化はほぼ不可能に近い。

雷で発電できる?雷のエネルギー利用というロマンを大真面目に考察


雷で発電できる?雷のエネルギー利用というロマンを大真面目に考察


「雷で発電できたら、最強のエネルギー源なんじゃ?」


──そんなふうに、一度は考えたことがあるかもしれません。
だって雷って、空からドッカーンと落ちてくる、桁違いの電気エネルギーですからね。


でも、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。
派手で強烈なイメージとは裏腹に、雷のエネルギー利用は夢があるけど現実は超シビアな分野なんです。


このページでは、 「雷で発電するのは理論上は可能。でも、実用化となるとほぼ壁だらけ」
という結論に至る理由を、順を追って噛み砕いていきます。



雷ってどれくらいのエネルギーがあるの?

まず気になるのが、「そもそも雷って、どれくらいのエネルギーを持ってるの?」という話ですよね。


雷1発の電圧は、数千万〜数億ボルト規模。
電流も数万アンペアに達することがあります。数字だけ見ると、とんでもない大物です。


ただし、ここで重要なポイントがひとつ。
雷のエネルギーは、ものすごく短い時間に一気に放出されます。
その持続時間は、だいたいマイクロ秒〜ミリ秒オーダー。


一瞬の爆発力はあるけど、長く安定して使えるエネルギーとは性質がまったく違う。
この「一瞬すぎる」というクセが、後々かなり効いてきます。


つまり、雷は「総量が大きいように見えても、電力源として扱うには荒すぎる存在」なんです。


雷の発電(電力源)利用が難しい理由

結論から言ってしまうと、 雷を発電して電力供給に使う、という実用例はほぼ存在しません。


これ、夢を壊すようですが、ちゃんとした理由があります。
雷がダメなのは「量が足りない」からではありません。
むしろありすぎて、扱いきれない。そこが最大の壁なんです。


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落ちる場所がわからない

まず大前提として、雷はいつ・どこに落ちるかが予測しづらい自然現象です。
発電所は、必要なときに確実に動いてくれないと困りますよね。


ところが雷は、「今日は来るかも」「いや来ないかも」
そんなレベルの予測しかできません。


設備をガッチリ用意して待ち構えても、 ほとんどの時間は空振り
稼働率が成立しない時点で、電力源としてはかなり厳しい立場になります。


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エネルギーが分散しちゃう

次に問題になるのが、エネルギーの使われ方です。
雷は地表に届くまでに、エネルギーの多くを
光・熱・音(雷鳴)としてばらまいてしまいます。


見た目はド派手でも、「電気として取り出せる分」は意外なほど少ない。
しかも、それが一瞬で終わる。


発電というより、巨大なフラッシュが一瞬光って消える。
そんなイメージのほうが近いかもしれません。


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経済性が合わない

海外の大学や研究機関の解説でも、評価はだいたい共通しています。
雷は、

  1. エネルギーの放出時間が短すぎる
  2. そもそも当たらない
  3. 電気を使える形に変換・蓄電するのが難しい


この三重苦を抱えています。


結果として、 設備コストに対して得られる電力があまりにも少ない
どう計算しても、ビジネスとして成り立ちにくい、という結論に落ち着きます。


ようするに、雷はエネルギーが足りないのではなく、「強すぎて制御できない」タイプの存在なんですね。


ロマンはあります。
でも発電となると、雷はあまりにも暴れん坊。
そこが、この話の一番リアルなポイントです。


もしも雷のエネルギー利用が実現したら?

ここで少し視点を変えてみましょう。
「雷をそのまま発電に使う」のが難しいだけで、雷に関する研究自体は、実はかなり進んでいます。


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雷を電力源にしない現実的アプローチ

実用として確立しているのは、雷を研究・試験対象として扱う方向です。


たとえばアメリカ・フロリダでは、ロケットとワイヤを使って誘発雷を発生させ、送電設備や避雷設計の耐久試験が行われています。


ソース:Appendix 9 - Bibliography on triggered lightning experiments and natural lightning observations at Camp Blanding, Florida (1995–2014)


これは発電ではありませんが、雷被害を減らすことで、社会全体のエネルギー損失を抑える。
かなり堅実で、価値の高い使い道です。


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雷サージから「少量だけ」回収する発想

もうひとつの方向性が、雷の直撃ではなく、近くの送電線などに生じる雷サージから
ごく一部だけを回収する研究です。


ソース:An investigation of a supercapacitor-based lightning energy harvesting technique


取り出したエネルギーは、 スーパーキャパシタに蓄えて、センサーや局所的な直流負荷に使う。そんなイメージ。


ただし、これも発電所レベルの話ではありません。
あくまで「限定用途なら意味があるかも」という段階です。


雷利用の現実解は「主力電源」ではなく「補助・研究用途」に寄っているんです。


 


雷で発電できるか?という問いに対する答えは、 理論上は可能。でも、実用化はほぼ成立しない


雷はエネルギー量よりも、制御できなさ、瞬間性、稼働率の低さが致命的です。


一方で、雷を理解し、被害を減らし、周辺現象を活かす研究は着実に進んでいます。


端的に言えば、雷は「電気をくれる存在」ではなく、「向き合い方を工夫すべき自然現象」なんですね。


ロマンはある。
でも現実は、ちゃんと現実。
そこが雷エネルギー研究の、いちばん面白いところかもしれません。


フン、オレの力を発電なんかに使おうなんざ、100年早ぇんだよ!オレの雷撃はなァ、一瞬で空をかっ裂き、大地を焼くほどのエネルギー…そんなもん、ちっせぇバッテリーに閉じ込めようなんてムリに決まってんだろ!使いたきゃ、もっとデカい器持ってこいや、人間どもッ!