

波力発電って、海の波がザブンと動くたびに「この力、電気にできないかな?」と発想したところから始まった発電方法です。
しかも日本は四方を海に囲まれた国ですから、ぱっと聞くと「これは向いていそうだぞ」と思ってしまいますよね。
ところが現実は、思ったより広がっていません。
というのも、波はたしかに大きなエネルギーを持っていますが、その一方でとても気まぐれで、設備にもお金にも、そして海の利用ルールにも、いくつもの壁が立ちはだかっているからです。
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まず大きなポイントは、やはり発電コストです。
波力発電は、波の上下運動や揺れを装置で受け止め、その動きを発電機につないで電気に変えますが、海の上でそれを行うというだけで工事はぐっと難しくなります。
なぜなら、海には安定した足場がありません。
だからこそ、重い装置を船で運び、海底に固定し、さらに海底ケーブルで陸とつなぐという工程が必要になります。
しかも潮風で金属はサビやすく、波で揺られ続けるため、定期的な点検や部品交換も欠かせません。
ようするに、装置そのものの値段だけでなく、設置費・維持費・修理費まで含めたトータルの負担が大きいのです。
波力発電は「海という過酷な環境」で長く動かすこと自体がコストの山場だと言えるでしょう。
次に立ちはだかるのが、日本特有の自然条件。
それが台風や高波です。
波力発電は、ある程度の波があってこそ力を発揮します。
しかし逆に言えば、波が強すぎると装置に想定以上の力がかかり、壊れてしまう危険もあります。
とくに台風のときは、波の高さや向きが急激に変わり、普段とはまったく違う環境になります。
だからこそ、「発電する仕組み」だけでなく、「危険なときはどう守るか」という設計が不可欠になります。
具体的には、装置を沈める、回転を止める、衝撃を逃がす構造にするなど、いわばサバイバル設計が必要なのです。
波力発電では、電気を生む技術と同じくらい「壊れない工夫」が重要になります。
荒天時の海は非常に危険なので、専門の体制なしに近づくことは絶対に避けるべきです。
そして三つ目の壁は、人との関係です。
海は発電の場所であると同時に、漁業の現場であり、船の航路であり、さらには自然環境を守る大切な空間でもあります。
たとえば発電装置を設置すると、その周辺は安全のため立ち入りが制限されることがあります。
もしそこが漁場であれば、漁業者にとっては大きな問題ですし、船の通り道と重なれば事故の危険も高まります。
だからこそ、事前の説明や話し合い、合意形成が欠かせません。
逆に言えば、こうした調整がしっかり行われれば、海の利用が整理され、共存の道も見えてきます。
波力発電は技術だけでなく「社会との調和」があってこそ成り立つ発電方法なのです。
このように、波力発電が日本で普及しにくい理由は、高いコスト、台風や高波への対策、そして海の利用との調整という三つの大きな壁が重なっているからです。
しかし裏を返せば、これらの課題を一つずつ乗り越える技術と仕組みが整えば、日本の豊かな海は大きなエネルギー源になり得るということでもあります。
だからこそ、研究と対話を積み重ねながら、現実的な道を探っていくことがこれからのカギになるのです。
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