

風力発電の風車って、風が吹けばすぐにくるくる回り出す──そんなイメージありませんか。
でも実は、どんな風でも回るわけではありません。回り始めるためには「ある程度の風の強さ」が必要ですし、回り方にもちゃんとした理屈があります。今回はブレードが回る仕組みと、必要な風速について見ていきましょう。
|
|
|
まず、風車の羽(ブレード)は止まった状態からいきなり高速回転するわけではありません。
風がブレードに当たると、押す力や引っぱる力が生まれます。そしてその力が、回転方向に働いたときに少しずつ動き出します。この「回り始めるのに必要な最小の風速」をカットイン風速と呼びます。
大型の風力発電機では、だいたい風速3〜4m/s前後が目安になることが多いです。これは、木の葉が揺れ始めるくらいの風の強さ。つまり、そよ風では足りず、ある程度しっかりした風が必要なのです。
ブレードは、一定以上の風速(カットイン風速)を超えると回り始めます
では、なぜブレードはそんなに効率よく回れるのでしょうか。
ポイントは揚力(ようりょく)です。ブレードは飛行機の羽と似た断面形状をしていて、風が通り過ぎると上下で空気の流れに差が生まれます。その結果、横向きの力──つまり揚力が発生します。
この揚力が回転方向に働くように、ブレードは角度(ピッチ)をつけて取り付けられています。だからこそ、ただ押されるだけでなく、風を「すべらせる」ようにして効率よく回転できるのです。
ブレードは揚力を利用して、風の力を回転エネルギーに変えています
さて、回り始める風速があるなら、「どれくらいで一番発電するの?」という疑問も出てきますよね。
風車にはもう一つ大事な数字があります。それが定格風速です。これは、設計上もっとも効率よく発電できる風速のことで、多くの大型機では風速12〜15m/s前後に設定されています。
ただし、風が強すぎてもダメです。台風のような強風では安全のために停止します。この停止風速をカットアウト風速と呼び、だいたい25m/s前後が目安とされます。
つまり、風力発電は次のような範囲で働いています。
──このように、風車には「働きやすい風の範囲」があるのです。
風が強ければ強いほど発電量が無限に増えるわけではありません
風力発電は、適切な風速の範囲でこそ力を発揮する仕組みです
風力発電のブレードは、カットイン風速を超えると回り始め、揚力を使って効率よく回転します。
そして定格風速で最大出力に近づき、強すぎる風では安全停止する。つまり風力発電は、風の強さとのバランスの上に成り立つ発電方法なのです。
|
|
|