生体電流の強さ(アンペア)ってどのくらいなの?

生体電流の強さ(アンペア)

生体電流は非常に微弱で、通常はナノアンペア(10億分の1アンペア)以下のレベルである。たとえば神経伝達に関わる電流は、数マイクロアンペア程度とされている。小さいが、正確な制御が重要な役割を果たしている。

生体電流の強さ(アンペア)ってどのくらいなの?

「電気が体の中を流れてる」って聞くと、なんだかビリビリ感電しそうで、ちょっと怖いイメージがありますよね。
「え、それ大丈夫なの……?」って身構えてしまう気持ち、すごく自然です。


でも、ここは安心してください。
体の中を流れている電気は、 びっくりするほど小さくて、やさしい電気なんです。


生体電流は、感電とはまったく別次元の、情報を伝えるための微弱な電気です。


雷やコンセントの電気と比べると、桁が何個も違うレベル。
「同じ“電気”という言葉を使っていいの?」
と思ってしまうほど、性質もスケールも別物なんですね。


このページでは、 生体電流の強さ(アンペア)はどのくらいなのか? なぜ安全なのか? どれくらい小さい電気なのか?


といった疑問に、数字とイメージを交えながら、できるだけかみ砕いて解説していきます。


読み終わるころには、「体の中に電気が流れてるって、むしろすごく理にかなってるな」
そんなふうに感じてもらえるはずですよ。



生体電流とアンペアをおさらい

全身を走る神経ネットワーク(中枢・末梢神経の模式図)

全身を走る神経ネットワーク
神経細胞を伝わる活動電位という電気信号が感覚の入力や筋肉への指令として全身を巡り、身体の情報伝達を支えている。

出典:『Nervous system diagram-en』-Photo by Medium69, Jmarchn/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


ここで一度、用語を軽く整理しておきましょう。
話をスッと理解するための、準備運動みたいなものです。


h4
生体電流=体内の微弱な電気信号

まずは生体電流から。
生体電流とは、体の中を流れる、ごくごく微弱な電気信号のこと。
主に神経や筋肉で使われていて、「動く」「感じる」「考える」といった働きを支えています。


生体電流は、力を出す電気ではなく、情報を伝えるための電気です。


ビリッとする刺激は一切なし。
むしろ、繊細で正確だからこそ、体のコントロールが成り立っているんですね。


h4
アンペア=流れる電気の量

では次に、ちょっと聞き慣れた単位――アンペア。


アンペア(A)とは、 「電気がどれくらいの量で流れているか」を表す単位です。
水にたとえるなら、電圧が「水圧」、アンペアは「水の量」。
ホースからチョロチョロ出るのか、ドバッと出るのか、その違いを示すイメージですね。


家庭用の電化製品だと、ドライヤーで10アンペア前後、電子レンジやエアコンも、普通に数アンペア〜十数アンペアが流れています。


じゃあ生体電流のアンペアとは?

じゃあ、生体電流の「電流の強さ」=アンペアって、実際どれくらいなんでしょう?


さっき出てきた電化製品の話を思い出すと、数アンペアとか、10アンペアとか。
そこから想像すると


「1アンペアくらい?」
「いや、もっと低くて0.1アンペア?」


──このくらいに見積もる人、多いと思います。


……すみません。 逆の意味で、ケタがまるで違います。


h4
“マイクロ”や“ナノ”の世界!

それというのも生体電流の強さは、(神経や脳などの情報伝達では)おおよそマイクロアンペア(μA)〜ナノアンペア(nA)レベルなんです!


「マイクロ?ナノ?」


急に呪文みたいになりましたよね。
なので、スケール感をイメージしやすくしてみましょう。


  • 1アンペア:1秒間に約620京個(6.2×1018個)の電子が流れる
  • 1マイクロアンペア:その100万分の1(=約620兆個
  • 1ナノアンペア:さらにその1000分の1(=約620億個


数字だけ見ると多そうに見えますが、アンペアの世界では、これはもう極小レベル


家庭用電気が「滝」だとしたら、生体電流は「朝露がポトッと落ちる」くらいの差。


正直に言ってしまうと、 蚊の息みたいな電気です(笑)


h4
弱いからこそ安全で正確!

でも、この小ささこそがポイント。


  • 強い電気じゃないから安全。
  • 弱い電気だからこそ、神経や筋肉を壊さず、情報だけを正確に伝えられる。


生体電流は、「大きな力」ではなく、 精密さで勝負する電気なんですね。


そんな弱い電気をどうやって測り、利用するの?

12誘導心電図の電極配置図(四肢誘導と胸部誘導)

12誘導心電図の電極配置(生体電流の測定)
皮膚表面の電位差を電極で拾い、心臓の活動を波形として記録する。

出典:『Annotated ECGcolor』-Photo by Tazie25/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


ここまで読んでくると、たぶんこんな疑問が浮かんでいるはずです。


「え、そんな蚊の息みたいな電気、どうやって見つけるの?」
「そもそも、測れるの?」


──ごもっともです。


生体電流は小さすぎて、そのままでは人間の感覚では絶対にわかりません。
だからこそ、ここからは技術の出番になります。


h4
増幅して測定:「波形」として見えるまで

まず測定の話からいきましょう。


生体電流を測るときに使われるのは、 超高感度の電極増幅装置です。
体に電極を貼り付けることで、神経や筋肉、心臓、脳が発するごく微弱な電気信号を拾い上げます。


ただし、拾ったままでは小さすぎて、ほぼノイズと区別がつきません。
そこで登場するのが増幅
マイクロアンペアやナノアンペアの信号を、何万倍、何十万倍にも増幅して、ようやく「波形」として見えるようにするんです。


心電図や脳波の、あのギザギザやゆらゆら。
あれは電気を無理やり大きくして描いた姿なんですね。


h4
模倣して利用:強さ・リズム・タイミングをまねる

次に、「利用」の話。


生体電流を使うときも、実は考え方はとてもシンプルです。
体が本来使っている電気の強さ・リズム・タイミングをまねする。
ただそれだけ。


EMSやリハビリ機器では、生体電流に近い弱さの電気を外から与えて、筋肉や神経に「いつもの合図」を送ります。


  • 強すぎないから壊れない。
  • 弱すぎないからちゃんと反応する。


この絶妙なさじ加減が命です。


生体電流は弱すぎて扱えない存在ではありません。
むしろ、 弱いからこそ、測れて、制御できて、応用できる。この小さな電気をどう扱うか。
そこに、人間の体と技術が出会う、いちばん面白いポイントが詰まっているんです。


 


生体電流の強さをアンペアで見てみると、私たちが普段使っている電気とは、桁がまるで違う世界だとわかります。


生体電流は、マイクロアンペア〜ナノアンペアという極めて弱い電気で、感電とは無縁の「情報専用の電気」です。


この弱さのおかげで、神経や筋肉は壊れず、正確で繊細な指令のやり取りが可能になります。
そして現代の技術は、その小さな電気をきちんと拾い上げ、増幅し、記録し、さらには治療やトレーニングにも活用できるようになりました。


体の中を流れる電気は、強さで勝負する存在ではありません。 小さいからこそ安全で、賢くて、生命にちょうどいい
生体電流のアンペアを知ることは、私たちの体がいかに精密にできているかを知ることでもあるのです。


生体電流の強さ?マイクロアンペアとかナノアンペアとか、想像もできねぇくらい微っっっ妙に流れてんのよ!そりゃあ感電なんかしねぇわけだわ!でもな、それで体がちゃんと動いてるってのがすげぇんだよ!