

「ビリビリって感じじゃないけど、体の中に電気が流れてる」──そう聞くと、ちょっと不思議に思えますよね。
でもこれ、実はちゃんとした話なんです。なんとなくのイメージじゃなくて、れっきとした仕組みあり。
その正体こそが、生体電流(せいたいでんりゅう)。
名前のとおり、生きている体の中を静かに流れている電気のことです。ピカッと光ったり、感電みたいにビリッとしたりはしません。でも、私たちが動く、感じる、考える。その裏側で、ずっと働いています。
生体電流は、私たちの体を「ちゃんと動かすため」に欠かせない、目に見えないサポーターです。
たとえば、筋肉を動かすとき。
たとえば、痛みや温度を感じるとき。
さらには、脳が情報をやり取りするときにも、この生体電流が関わっています。意識していなくても、体の中ではせっせと仕事中。健気ですよね。
このページでは、そんな生体電流について、 どんなしくみで流れているのか、 どんな性質を持っているのか、そして日常生活の中でどう関係しているのかまで、順を追ってお話ししていきます。
専門用語はできるだけかみ砕いて、「なるほど、そういうことか」と思えるところまで。
体の中で起きている、ちょっとワクワクする電気の話。ここから一緒に見ていきましょう。
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EMS機器を使用したトレーニングの様子
生体電流を利用して筋肉を刺激し、トレーニング効果を高める様子
出典:Photo by Gciriani / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
生体電流とは、私たちの体の中を流れている、ごく微弱な電気のことです。
電池みたいにビリビリ感じるような強さはありませんが、「流れていない」わけではありません。気づかないだけで、体の中では常に働いています。
生体電流は、体の中で情報を伝えるための、静かだけれど欠かせない存在です。
これがとくに重要なのが、神経や筋肉の動き。
体を動かそうとするとき、何かを感じ取るとき、その裏側では生体電流が“電気信号”として活躍しています。言葉を使わない、体専用の通信手段。そんなイメージですね。
神経は、体のあちこちから集めた情報を脳へ届けたり、脳からの指令を筋肉へ送ったりしています。
このやり取りに使われているのが、生体電流です。
「指を動かす」「熱いと感じる」「痛みを察知する」
こうした反応はすべて、電気の信号が一瞬で伝わることで成り立っています。動きも感覚も、生体電流なしでは成立しません。
では、そもそも体の中で、どうして電気が流れるのでしょうか。
ポイントになるのは、私たちの体が水分とミネラル(ナトリウム・カリウム・カルシウムなど)で満たされているという点です。
これらのミネラルは、体内ではイオンという形で存在しています。
イオンは電気的な性質を持っているため、体液の中を移動することができます。ここが大事なところ。
たとえば神経細胞では、外から刺激を受けた瞬間、細胞膜の内側と外側でイオンが一気に移動します。
その結果、そこに電気の流れが生まれます。
この仕組みは、活動電位(かつどうでんい)と呼ばれています。
神経や筋肉は、この活動電位を使って情報を伝え、正確に動いているのです。
普段はまったく意識しませんが、体の中では常に電気が行き交っています。
静かだけれど確実に働く、生体電流。その存在を知ると、体の仕組みが少し身近に感じられますね。
「ホントに電気なんて流れてるの?」
そう思ってしまう気持ち、よくわかります。だって見えないし、感じもしませんからね。
でも実は、生体電流はすでに医療や検査の現場で、当たり前のように使われている存在なんです。
生体電流は、測れない不思議なものではなく、きちんと記録できる“体の反応”です。
私たちの生活にぐっと近い例を見ていきましょう。
これらはすべて、「体の中の電気」を読み取る検査です。
つまり、生体電流が常に発生していないと、そもそも成り立ちません。

12誘導心電図の電極配置図
生体電流を利用した心電図検査で使用される12誘導の電極配置を示す図
出典:Photo by Madhero88 /Wikimedia Commons Public Domainより
心臓は、勝手にドクドク動いているわけではありません。
実は一定の電気信号が流れることで、リズムよく収縮と拡張をくり返しています。
心電図では、そのときに生じる生体電流を波形として記録します。
病院で胸に電極をつける、あの検査ですね。
波の形が乱れていないかを見ることで、心臓の状態がわかる仕組みです。

脳波計測の準備をする被験者
頭皮の微小な生体電位を電極で拾い、波形として記録する。
出典:『EEG recording』-Photo by Petter Kallioinen/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
脳もまた、生体電流のかたまりです。
考える、感じる、眠る、目を覚ます。こうした活動は、すべて神経細胞同士の電気信号によって起きています。
脳波検査では、頭皮に電極をつけて、脳内で発生している微弱な電気の変化を記録します。
てんかんの検査や、睡眠の状態チェックなどにも使われています。

手の筋電図電極と尺骨神経刺激の配置
筋肉が収縮するときに生じる微小な生体電流を、皮膚上の電極で拾う。
神経へ刺激を与えた反応を波形として記録し、筋の働きを評価する。
出典:『Electromyographic recording at adductor pollicis muscle and stimulation of the ulnar nerve』-Photo by Paul Anthony Stewart/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0
筋肉が「ギュッ」と縮むときにも、生体電流が発生しています。
その電流を測定するのが、筋電図です。
筋肉にどれくらい信号が届いているか、神経からの指令がちゃんと伝わっているか。
こうしたことを確認するために使われます。
どれも特別な現象ではありません。 生体電流が日常的に働いているからこそ、測れるし、役に立つ。
そう考えると、「体の中を電気が流れている」という話も、少し現実味が出てきますよね。
生体電流はごく微弱なものですが、侮れません。
実はこれ、体の動きや内臓の働き、体内リズムを整えるうえで、とても重要な役割を担っています。
意識しなくても呼吸ができる、心臓が一定のリズムで動く。そんな「当たり前」を下支えしている存在です。
生体電流は、健康な体の土台として、静かに全身を支えています。
ただしここで、ひとつ大事なポイント。
近年の健康・美容ブームの中で、生体電流という言葉が少し独り歩きしている面もあります。
神経や筋肉、内臓の動きは、すべて電気信号による情報伝達で成り立っています。
この流れがあるからこそ、体は無理なく連動し、バランスを保つことができます。
たとえば──
こうした仕組みの背景には、必ず生体電流が関わっています。
つまり、生体電流が「特別なもの」なのではなく、正常な体の状態そのものだと言えるわけですね。
一方で、「生体電流のバランスが乱れると不調につながる」「整えれば健康や美容に効果がある」といった話を目にすることも増えてきました。
ただし、ここは冷静に見ておきたいところ。 こうした主張の多くは、科学的な根拠がまだはっきり示されていません。
生体電流そのものは、確かに体にとって重要です。
しかし、「乱れ=不調」「調整=改善」と単純に結びつけられるほど、体の仕組みはシンプルではありません。
現時点では──
こうした基本的な生活習慣を整えることが、結果的に体の電気的な働きも健やかに保つ、という理解がいちばん現実的です。
生体電流は魔法のスイッチではありません。
でも、体がきちんと働いている証でもある。
そう捉えておくと、健康や美容の話題とも、ちょうどいい距離感で向き合えますね。
生体電流ってのはな、ただのオカルト用語じゃねぇ!体の中を走るマジの電気信号なんだよ!筋肉も脳も心臓も、みーんなこいつが動かしてんだぜ。ありがたく思えよ!
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