

電波の話になると、「こんなにたくさん飛んでいて、どうして混ざらないの?」
と、不思議に思ったことはありませんか。
スマホ、Wi-Fi、テレビ、ラジオ。
どれも同じ空間を使っているはずなのに、勝手にごちゃ混ぜにならず、それぞれがちゃんと別々に届いている。
考えてみると、これってなかなか不思議な状況です。
電波は無秩序に飛んでいるようで、実はかなり整理されたルールのもとで動いている。
ここが、いちばん面白いポイント。
もし本当に混ざってしまうなら、スマホで通話している最中にラジオが割り込んだり、テレビの映像にWi-Fiのデータが紛れ込んだりしてしまうはず。
でも、現実はそうなっていませんよね。
これ、実はかなりよくできた仕組みが裏で働いているからなんです。
というわけでこのページでは、「電波はなぜ混ざらない(干渉しない)のか」という疑問を、できるだけ直感的に、専門用語をかみ砕きながら説明していきます。
読み終わるころには、見えない電波の世界が、少しスッと整理されて見えてくるはずですよ。
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放送局の送信機室と大型送信機(1930年代フィンランド)
放送は周波数(チャンネル)を割り当て、送信機はその帯域で電波を出し続ける。受信側は同調で狙った周波数だけを拾い、別の電波と混ざりにくくなる。
出典:『Yleisradio's radio transmission unit in Lahti radio station, 1930's.』-Photo by Yle Arkisto - Yle Archives/Wikimedia Commons Public domain
まず大前提として、電波はすべて同じではありません。
目には見えませんが、実は一つひとつに役割と居場所がきちんと用意されています。
ここを押さえるだけで、「どうして混ざらないのか」という疑問が、一気に整理されて見えてきます。
電波には、周波数という大切な違いがあります。
これは、波がどれくらいの速さで、どんなリズムで揺れているかを表す指標。
周波数が違えば、それはもう別の電波です。
同じ空間を飛んでいても、性質ははっきり分かれています。
電波は、周波数が違うだけで「別チャンネル」として扱われる。
この考え方こそが、混ざらない仕組みのいちばんの基本です。
実際の空間では、たくさんの電波が同時に飛び交っています。
それでも、周波数が違うため、情報としては重なりません。
物理的にはすれ違っていても、意味としては交差しない。
ここが、電波の少し不思議で、とてもよくできたポイントです。
ここで、ラジオを思い出してみてください。
ダイヤルを回すと、特定の局だけがクリアに聞こえますよね。
他の局の音が、勝手に混ざってくることはありません。
これは、 周波数を選んで受信しているから。
電波の世界では、この仕組みが常に働いています。
だから、同じ空間を使っていても、通信がごちゃごちゃにならないんです。

電波から音声を取り出す受信機ブロック図
アンテナで受けた電波は、同調回路で狙いの周波数だけを選び出す。
次に検波(復調)で搬送波から音声の波形だけを取り出す。
最後に音声増幅で信号を大きくしてスピーカーへ送る。
出典:『Tuned radio frequency (TRF) receiver block diagram 2』-Photo by Chetvorno/Wikimedia Commons CC0
「電波が混ざらない理由」は、実は飛ばす側だけの工夫ではありません。
見落とされがちですが、 受け取る側の働きも、かなり重要な役割を担っています。
ここを知ると、電波の世界が一段とクリアに見えてきます。
まず、ちょっと意外な事実から。
アンテナは、必要な電波だけを選んで拾っているわけではありません。
実際には、 周囲を飛んでいる電波をまとめて受け取っているんです。
この時点では、まだ整理されていない状態。
いろいろな電波が、いっしょくたに集まってきています。
ここからが、本当の勝負どころです。
受信機の内部では、周波数ごとに電波をふるい分ける仕組みが働いています。
それぞれの機械が、「今、必要なのはこれ」と 決め打ちで周波数を選び取っているんです。
外から見ると静かでも、中ではかなり忙しい処理が行われています。
では、選ばれなかった電波はどうなるのか。
答えは、とてもシンプル。 無視されます。
聞く必要がない情報は、最初から処理しない。
だからこそ、他の通信が割り込んでこないわけですね。
電波は、受け取る側が選別しているから、必要な情報だけがきちんと届く。
この視点を持つと、通信の仕組みがぐっと理解しやすくなります。

ITU(国際電気通信連合)のロゴ
国や地域ごとに電波が混乱しないよう、周波数や運用ルールを国際的に調整する機関。放送や通信の「チャンネル分け」を支える枠組みの象徴。
出典:『International Telecommunication Union logo』-Photo by International Telecommunication Union/Wikimedia Commons Public domain
ここまでの話を聞くと、「じゃあ電波は絶対に混ざらないの?」
そんな疑問が浮かぶかもしれません。
結論から言うと、実は条件が重なると影響し合うこともあります。
電波は万能ですが、無敵というわけではないんです。
電波が混ざりやすくなる代表的なケースが、同じ周波数の電波が、同じ場所で使われる場合です。
たとえば
こうした現象の多くは、 周波数の衝突が原因。
同じチャンネルに、複数の通信が押し寄せている状態ですね。
電波は、弱くなるほど影響を受けやすくなります。
距離が遠い。
壁や建物などの障害物が多い。
こうした条件が重なると、電波はだんだん弱っていきます。
そこへ、近くの強い電波が重なると、かき消されてしまうことも。
これが、「つながりにくい」「不安定になる」正体です。
こうしたトラブルを防ぐために、電波の世界には厳密なルールが設けられています。
どの周波数を、誰が、どのくらいの強さで使うのか。
これらをあらかじめ決めて、きちんと管理しているからこそ、私たちは安心して通信を使えるんです。
電波は自由に飛んでいるようで、実は見えないところで細かく管理されている。
この裏側の仕組みが、快適な通信環境を支えています。
電波が混ざらない理由は、偶然でも、魔法でもありません。
周波数というチャンネル分け。
受信側でのきちんとした選別。
そして、干渉を防ぐために定められたルール。
こうした仕組みが、ひとつひとつ積み重なって、今の通信環境が成り立っています。
電波は放りっぱなしではなく、分けて・選んで・守られて使われている。
この視点を持つと、「混ざらない」のは当たり前で、むしろ必然だったことが見えてきます。
私たちは、同じ空間にいながら、スマホで通話し、Wi-Fiで通信し、テレビやラジオを楽しんでいます。
それができるのは、見えないところで電波が、とても秩序だった世界として動いているから。
何気なく使っている通信の裏側には、こんなにも整理された仕組みがある。
そう思うと、電波の世界が少しだけ、おもしろく感じられてきますね。
電波が混ざらねぇのはよ、それぞれ違う周波数っていう“専用チャンネル”を使ってるからなんだぜ!しかも国や機械がしっかり管理・調整してくれてるおかげで、オレたちは安心してスマホやテレビを使えてるってわけだ!まさに“見えねぇ交通整理”って感じだな!
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