

雷って、空にバリバリッと光って、少し遅れてドカーン!と音まで鳴る──とにかくインパクト抜群の自然現象ですよね。
見た目も音も派手すぎて、どうしても「すごい稲妻!」という印象が先に来がちです。
でも実は、科学の世界では雷の正体、ちょっとクールな言い方をされているんです。
それが、 「空気の絶縁破壊(ぜつえんはかい)」。
なんだか急に難しそうに聞こえますよね。
でも意味は、意外とシンプル。
雷=空気の絶縁破壊というのは、 ふだんは電気を通さない空気が、限界を超えた瞬間に「もう無理!」と電気を通してしまった現象だからなんです。
つまり、空気は基本的には電気をブロックする存在。
でも、雷のときだけは話が別。
とんでもない電圧がかかることで、空気が耐えきれず、一気に電気の通り道になってしまう。
それが、あの雷。
このページでは、 なぜ雷を「空気の絶縁破壊」と言い換えるのか?について、次の3つのポイントに分けて、できるだけ噛み砕いて解説していきます。
専門用語は出てきますが、身近なイメージを使いながら進めていくので大丈夫。
雷の見え方が、ちょっとだけ変わるかもしれませんよ。
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導体(左)と絶縁体(右)の比較図
導体(左)では電子が自由に動けるため、外から電気が加わっても内部で電荷が移動して打ち消し合い、電場は残らない。一方右図が示すように、絶縁体では電子がその場に縛られて動けないため、電気が加わるとプラスとマイナスの偏りが内部に生じたままとなり、「電子が動けない」という状態が電気を通さない性質として現れる。
出典:Photo by Siyer300 / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より
絶縁(ぜつえん)とは、ひと言でいえば電気を通さない状態のことです。
もう少し噛み砕くと、中にある電子が自由に動けない。
だから、電気が流れにくい。そんなイメージですね。
たとえば身近なところだと、ゴム、プラスチック、ガラス。
このあたりは、「電気を通さない素材」として、わりと有名どころです。
コンセントのカバーや、電線を包んでいる被膜。
ちゃんと理由があって、こうした素材が使われているわけですね。
でも、ここでちょっと意外な存在が登場します。
それが── 実は「空気」こそが、めちゃくちゃ優秀な絶縁体という事実。
ふだん私たちは、空気の中で生活しているのが当たり前すぎて、「電気を通さない存在」として意識することは、ほとんどありません。
でも実際には、空気があるからこそ、電気は好き勝手に流れず、私たちは安全に暮らせているんです。
そして、この「空気は基本的に電気を通さない」という性質こそが、今回のテーマ── 雷=空気の絶縁破壊を理解するための、いちばん大事な土台になってきます。
ここで、もうひとつ大事なポイント。
それは、絶縁体=絶対に電気を通さない存在ではない、ということです。
「絶縁」って聞くと、どんな状況でも電気を完全シャットアウトしてくれる、無敵のバリア。
そんなイメージを持ちがちですよね。
でも実際には、どんなに優秀な絶縁体でも、限界はちゃんと存在します。
ものすごく高い電圧がかかると、電気を防いでいたバリアが崩れて、一気に電気が流れてしまう
これが、 「絶縁破壊」と呼ばれる現象です。
条件が穏やかなうちは問題ありませんが、想定をはるかに超える電圧をかけられると、「もう耐えられない」と性能が破られてしまうんですね。
そして──
この絶縁破壊が、自然界で最大級のスケールで起きたもの。
それこそが、雷。
次はいよいよ、雷による「空気の絶縁破壊」の内幕について、もう一段、深く掘り下げていきます。

雷の放電路がプラズマ化して伸びる過程
雷では、本来は電気を通さない空気が、先行放電(ステップドリーダー)によって電離され、絶縁が破れてプラズマ状態へ変化していく。このとき刻まれる細い導電路(プラズマの道)が地上側の上向き放電とつながると、空気の絶縁破壊が完成し、大電流が一気に流れて強い発光として雷が現れる。
出典:『Lightning formation』-Photo by National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA)/Wikimedia Commons Public domain
では、雷の正体である空気の絶縁破壊。
実際には、空の中で何が起きているのでしょうか。
ポイントになるのは、 かかっている電圧の異常さです。
具体的には、 空気1センチあたりに約3万ボルト以上。
このレベルの電圧がかかると、どんなに優秀な絶縁体である空気でも、さすがに耐えきれなくなります。
すると、空気の中では次のような変化が、一気に連鎖的に起こります。
ここからが本番。
順番に見ていきましょう。
まず、強烈すぎる電圧によって、空気をつくっている分子がバラバラに壊されます。
ふだんは安定している空気分子も、雷クラスのエネルギーの前では、さすがに持ちこたえられません。
分子が壊れると、中に閉じ込められていた電子が解放されます。
電子は動けるようになると、電圧に引っぱられて一斉に移動開始。
ここで、「電気が流れ始める準備」が整います。
電子が自由に飛び交う状態。
これがプラズマです。
プラズマになると、空気はもう絶縁体ではありません。
一気に電気を通す通路へと変身します。
そして、この通路が完成した瞬間── 大電流が一気に流れ込みます。
つまり雷とは、限界を超えた電圧によって空気がプラズマ化し、一気に電流が流れ出した現象なんです。
あのまぶしい光と、遅れて響く轟音。
全部まとめて、 空気の絶縁破壊が生んだ結果というわけですね。
まとめると…
つまり、雷は「空気というバリアをぶち破って、電気が走った」っていう超現象なんです!
雷が「空気の絶縁破壊」って呼ばれてんのはなァ、ふだんは電気なんて通さねぇ空気が、オレ様の電圧に耐えきれずにバリバリ壊れて、電気の道に変わっちまうからだ!空のバリアをブチ抜く、オレ様の一撃…どうだ、震えたか?
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