帯電はなぜ起こるの?仕組みを超絶わかりやすく解説

帯電の仕組み

異なる物質がこすれ合うことで、電子が一方から他方へ移動し電荷のバランスが崩れることで帯電が起こる。電荷は物体表面にとどまり、外部に逃げにくいと帯電が持続する。特に乾燥した環境では帯電しやすくなる。

帯電はなぜ起こるの?仕組みを超絶わかりやすく解説

スマホを触っていたら、指先で「パチッ!」。
セーターを脱いだ瞬間に、「バチバチッ!」。


こんな経験、誰でも一度はありますよね。
このとき起きているのが、帯電(たいでん)という現象です。


でも、ちょっと不思議じゃありませんか。
電池をつないだわけでもないし、コンセントに差したわけでもない。
それなのに、どうして勝手に電気がたまるのか。


その答えのカギを握っているのが、目には見えないけれど、どこにでもいる存在── 電子たちです。


物と物が触れたり、こすれたりすると、その表面では、電子がほんの少し移動します。
ほんの少し、でもこれが積み重なると、「電気がたまっている状態」が生まれてしまうんですね。


帯電とは、電子が素材の表面を移動して、電気のバランスが片寄ってしまう現象です。


プラスとマイナスの数が、ほんのわずかズレるだけ。
それだけで、パチッとくるほどの力になる。
これが帯電の面白さであり、やっかいさでもあります。


このページでは、 なぜ電子が動くのかどうして素材によって帯電しやすさが違うのか、そしてあの「パチッ!」は何が起きているのかを、できるだけ感覚的に、かみ砕いて解説していきます。


読み終わるころには、帯電が「よくわからない現象」から、「なるほど、そういうことか」に変わるはずですよ。



帯電のカギは「電子の移動」

静電誘導で導体を帯電させる手順(接地と電荷分離の図解)

静電誘導で導体を帯電させる手順図
帯電体を近づけると、導体内部で+と-が分かれて偏る。
接地で片側の電荷を逃がし、最後に接地を外すと帯電が残る。

出典:『Charging-by-electrostatic-induction』-Photo by MikeRun/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


まず大前提として、世の中の物質はすべて、プラスの電気をもつ陽子
マイナスの電気をもつ電子でできています。


ふだんはこのプラスとマイナスがきれいにつり合っていて、全体としてはプラマイゼロ
だから特に何も起きていないように見えるんですね。


でも……ここからがポイント。


物どうしをこすり合わせたり強く触れたりすると、表面で電子が片方からもう片方へ移動することがあります。


電子はとても身軽なので、条件がそろうと、「ちょっと借りるね」みたいな感じで移動してしまうんです。


その結果どうなるかというと──

  • 電子を受け取った側:マイナスに偏る(電子が多い)
  • 電子を失った側:プラスに偏る(電子が少ない)


この電気のバランスが崩れた状態、それこそが帯電。


帯電とは、電子が移動した結果、プラスとマイナスが片寄ってしまった状態のことです。


大げさな変化に見えても、実際に動いているのは、ほんのわずかな電子。
それでも体感できるほどの電気になる。
ここが帯電の不思議なところですね。


身の回りでよくある「帯電」とその仕組み

風船を髪にこすって帯電させるイメージ(髪と風船の静電気実験)

帯電で髪と風船が引き合う様子
ゴム製の風船を髪にこすると電荷が移り、髪の毛が風船に引き寄せられる。
こすり合わせで帯電する「摩擦帯電」の代表的な実験。

出典:『Attractive-electric-force-between-hair-and-balloon』-Photo by MikeRun/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


具体例を見ていくと、帯電の仕組みは一気にイメージしやすくなります。
どれも一度は体験したことがあるものばかりですよ。


  • 風船を髪にこする:風船(ゴム)に電子が移ってマイナスに帯電、髪はプラスに帯電
  • アクリル板と毛布:アクリルがプラス、毛布がマイナスに帯電
  • 靴下で歩いたあとドアノブに触る:体にたまった電子が一気に移動して放電


ここから、それぞれの場面で何が起きているのかを、順番に見ていきましょう。


h4
風船を髪にこする:電子はゴム側へ移動

風船を髪にこすりつけると、電子はゴムでできた風船側へ移動しやすい性質を持っています。


その結果、風船は電子をたっぷり受け取ってマイナスに帯電
逆に、電子を奪われた髪の毛はプラスに帯電します。


だから、同じプラス同士になった髪の毛どうしが反発して、ふわっと逆立ったり、四方に広がったりするわけです。


ただの遊びに見えても、そこではちゃんと、電気の力が働いている。
その実演が、この風船の静電気なんですね。


h4
アクリル板と毛布:素材の組み合わせで結果が変わる

アクリル板と毛布をこすった場合も、起きていることは同じです。


ただしこの組み合わせでは、電子は毛布側に残りやすい
そのため、アクリル板はプラスに、毛布はマイナスに帯電します。


どちらがプラスになるか、マイナスになるかは、 素材どうしの相性で決まる。
これが帯電のややこしいポイントでもあります。


h4
ドアノブで「バチッ!」:たまった電子の一気移動

靴下で床を歩き回ると、体には少しずつ電子がたまっていきます。
この時点では、まだ気づきません。


ところが金属製のドアノブに触れた瞬間、電子は一気に移動。
この急激な移動が、あの「バチッ!」という刺激になります。


帯電そのものより、たまった電子が一気に移動する瞬間が、あの衝撃の正体です。


身の回りの帯電は、すべて「電子のうつりやすさの違い」から起きています。素材ごとに電子を受け取りやすい・手放しやすい性質があり、その差が電気の偏りを生み、帯電として現れているのです。


なぜ電子はうつりやすい?「帯電列」でわかる!

帯電列(トライボエレクトリック・シリーズ)の図(正に帯電しやすい物質から負に帯電しやすい物質まで)

帯電列(摩擦帯電の起こりやすさ順)
異なる物質をこすったとき、どちらが+/-になりやすいかを並べた一覧。
離れるほど電荷移動が起きやすく、静電気が強く出やすい。

出典:『Triboelectric-series EN』-Photo by MikeRun/Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0


 


実は、物質にはそれぞれ 「電子を手放しやすい/受け取りやすい」という性質があります。
この傾向をズラッと並べたものが、帯電列(たいでんれつ)です。


難しそうに聞こえますが、考え方はシンプル。
「どの素材が、どっち側に電気をため込みやすいか」を 順番に並べただけの一覧表なんですね。


帯電列は、電子の受け渡しの“得意・不得意”を可視化したものです。


以下は、代表的な帯電列の例です。 上にあるほど電子を失いやすく(プラスに帯電しやすい)下に行くほど電子を受け取りやすく(マイナスに帯電しやすい)
という並びになっています。


順位 物質 帯電傾向
1 ガラス +に帯電しやすい
2 人の毛髪 +に帯電
3 ナイロン +に帯電
4 ウール(羊毛) やや+に帯電
5 綿(コットン) ほぼ中性
6 木材 やや−に帯電
7 ポリエステル −に帯電
8 ポリ塩化ビニル(PVC) −に帯電
9 ポリスチレン(発泡スチロールなど) 強く−に帯電
10 テフロン(フッ素樹脂) 最も−に帯電しやすい


この表を見ると、帯電の起こりやすさが、かなり整理されて見えてきます。


帯電列の上側にある物質ほど、電子を手放しやすい=プラスに帯電しやすい
反対に、下側にある物質ほど、電子を受け取りやすい=マイナスに帯電しやすい


たとえば、こんな感じです。


  • ガラス:電子を手放しやすく、プラスに帯電しやすい
  • テフロン:電子を受け取りやすく、マイナスに帯電しやすい


この素材どうしの相性の差が、こすったときに帯電が起きやすいかどうかを左右しています。


つまり帯電は、「たまたま起きる不思議な現象」ではなく、 素材の性格どおりに起きている、かなり素直な現象なんですね。


帯電ってのはよ、電子が移動して電気のバランスが崩れた結果、プラスやマイナスに電気がたまる現象なんだぜ!知らねぇうちにオレたちの周りで電子が行ったり来たりしてると思うと、ちょっと不思議でワクワクすんだよな!