燃料電池の起電力の求め方:電圧はどのように計算できるのか?

燃料電池の起電力の求め方

燃料電池の起電力とは電池が生み出す電位差の理論値を示す電気化学的な指標だ。水素と酸素の反応では標準状態で約1.23ボルトの電圧が得られるとされている。この値は反応物の状態や温度によって変化する特性といえる。

燃料電池の起電力の求め方:電圧はどのように計算できるのか?

燃料電池の起電力って、要するに「理論的にどれくらいの電圧が出せるか」という目安です。求め方はいくつかありますが、学校や基礎学習でいちばん扱いやすいのは、反応のエネルギー(ギブズ自由エネルギー)から出す方法。もう少し実務寄りだと、濃度(分圧)まで入れたネルンスト式で計算します。ここでは両方を、できるだけスッと入る形でまとめます。



起電力とは「理論電圧」のこと

燃料電池の起電力は、電池が外部に電流を流す前(またはごく小さい電流のとき)に得られる理論上の電圧です。
実際の電圧は、内部抵抗や反応の遅れ(過電圧)で下がりますが、まずは「理論値」を押さえるのが第一歩です。


まず反応式を決める

代表例の水素燃料電池(PEFCなど)は、全体として次の反応です。


水素燃料電池:
H₂ + 1/2 O₂ → H₂O


この反応がどれだけ“電気の仕事”をできるかで起電力が決まります。


起電力は「この反応で取り出せる電気の仕事量」から決まります!


求め方① ΔGから求める(いちばん基本)

起電力Eは、次の式で求められます。


E = −ΔG / (nF)


  • ΔG:反応のギブズ自由エネルギー変化(J/mol)
  • n:反応で動く電子の数(mol e⁻)
  • F:ファラデー定数(約96485 C/mol)


──これが「起電力の基本式」です。


水素燃料電池なら n はいくつ?

水素燃料電池(H₂ + 1/2 O₂ → H₂O)では、電子は2個動きます。
つまり n = 2 です。


そして、標準状態(25℃、1 atm)で水(液体)を生成する場合、ΔG°はおよそ−237 kJ/molがよく使われます。
これを式に入れると…


E° ≈ 237000 / (2 × 96485) ≈ 1.23 V


つまり、標準状態での理論起電力は約1.23Vです。


ΔGと電子数nが分かれば、起電力は一発で出せます!


求め方② ネルンスト式で求める(条件を入れる)

実際の燃料電池は、温度やガスの濃さ(分圧)で起電力が変わります。そこで使うのがネルンスト式です。


E = E° − (RT / nF) ln Q


  • R:気体定数(8.314 J/mol·K)
  • T:絶対温度(K)
  • Q:反応商(分圧や濃度で決まる)


──この式で「条件つきの起電力」が計算できます。


水素燃料電池のQの形

反応:H₂ + 1/2 O₂ → H₂O(生成物が液体水なら水は1として扱う)
このとき反応商Qはざっくり、


Q = 1 / (p(H₂) × p(O₂)^(1/2))


となります(pは分圧)。


だから、水素や酸素の分圧が高いほどEは上がりやすい、逆に低いほど下がりやすい、という関係になります。


ネルンスト式は「温度」と「分圧(濃さ)」で起電力が変わることを表しています!


 


ここまでで、燃料電池の起電力の求め方を整理しました。


まとめると──


  1. 基本は E = −ΔG/(nF) で理論起電力を出す。
  2. 条件を入れるなら E = E° − (RT/nF)lnQ(ネルンスト式)。
  3. 水素燃料電池の標準起電力はおよそ1.23V。


──以上3点が押さえるべきところです。


まずは「ΔGで起電力を出す」→次に「ネルンスト式で条件を入れる」と覚えると、迷わなくなるのです。