

実は太陽には、地球の磁場とは比べものにならないほど、 桁違いに巨大で強力な磁場が存在しています。
その太陽磁場が、黒点を生み出し、巨大なフレア(爆発)を引き起こし、ときには地球の空に美しいオーロラを出現させる。
太陽で起きている派手な現象の多くは、この磁場の暴れっぷりが原因なんです。
でも、ここで一つ、素朴な疑問が湧きますよね。
太陽って、固い岩の天体でもなければ、巨大な鉄の塊でもありません。
正体は、 燃えさかる超高温のガスのかたまり。
「え?そんなドロドロしたガスの集まりに、どうして磁場なんて生まれるの?」
……ちょっとピンと来ませんよね。
実はそこにこそ、太陽磁場の面白さがあります。
結論を先に言ってしまえば、太陽の磁場は「電気を帯びたガスが動き回っているから」生まれているんです。
このページでは、そんな太陽磁場について
という3つの視点から、順番に、かみ砕いて解説していきます。
「太陽って明るくて熱いだけじゃなかったんだな」
そう感じてもらえたら、もうこの先はかなり楽しく読めるはずですよ。
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電流が作る磁場の模式図
直線導線に電流が流れると、その周囲に円形の磁場が形成される様子を示す図。右ねじの法則により磁場の方向が決定される。
太陽磁場の話に入る前に、ここで磁場について軽くおさらいしておきましょう。
磁場というと、「磁石が作る不思議な力」というイメージが強いですよね。
でも実は、 磁場は「電気の流れ(電流)」があると生まれる力なんです。
もう少し正確に言うと、磁場が発生する条件はとてもシンプルで
「 電気を帯びたものが動くこと」
これだけです。
電気がじっと止まっているだけなら、そこにあるのは電場。
でもその電気が動いた瞬間、まわりの空間に磁場が生まれます。
「電気が動く」と磁場が生まれる──と聞いただけでは、イメージが湧きにくいと思いますが、身近な例で言うと、こんなものがあります。
特別な磁石がなくても、 電気が動いていれば、そこには必ず磁場がある。
これが、磁場の基本ルールです。
この視点を持っておくと、次に出てくる太陽磁場の話も、「急にスケールが大きくなっただけなんだな」
と、すんなり理解しやすくなりますよ。
ここからが本題です。
太陽の磁場は、どこかから「与えられている」わけではありません。
太陽自身の内部で、自然に生み出されています。
そしてそれは「プラズマ」と「自転」という二つの要素の賜物です。
まずポイントになるのは、太陽の中身が超高温のガス──
正確にはプラズマという状態であること。
プラズマとは、「電気を帯びた粒子が自由に動き回れる状態」の物質です。
つまり太陽の内部では、最初から「電気を帯びたもの」が大量に存在している、というわけですね。
そしてそのプラズマ、太陽の中でじっとしていません。
対流によって上下に動き、場所によって速さを変えながら流れ続けています。
さらに重要なのが、 太陽は自転しているという点。
しかも、太陽は固体ではないので、場所ごとに回転の速さが違う「差動回転」をしています。
この条件がそろうと何が起きるか。
電気を帯びたプラズマが、自転と対流の影響で、 ぐるぐると渦を巻くように動き続ける。
これはそのまま、 巨大な電流が流れている状態と同じです。
結果として──
という流れになります。
つまり太陽の磁場は、「磁石があるから生まれる」のではありません。 電気を帯びたプラズマが動き続けている──
その必然的な結果として生まれているんです。
身近な電線に電流を流すと磁場ができる。
それを、 太陽サイズ・太陽エネルギーでやっている。
そう考えると、太陽磁場のスケールの大きさが、一気に実感できてきますよね。

太陽表面の磁場分布を示すマグネトグラム
白黒の濃淡で、視線方向の磁場の向きと強さを可視化した観測画像。
黒白の斑点は活動領域に対応し、黒点やフレアの源を示す。
出典:『PHI's map of the Sun s magnetic field』-Photo by ESA and NASA/Solar Orbiter/PHI Team/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0 IGO
太陽の磁場は、地球の磁場のように「きれいな棒磁石型」とは、かなり違います。
一見すると、どちらも天体が持つ磁場。
でも中身をのぞくと、 太陽の磁場は「動きすぎ・変わりすぎ・広がりすぎ」な、かなりクセの強い存在なんです。
その理由を、3つのポイントに分けて見ていきましょう。
地球の磁場は、長い時間スケールで見ると、わりと安定しています。
一方で太陽の磁場は、 常にグニャグニャと形を変え続けています。
その原因は、太陽が固体ではなく、電気を帯びたプラズマの塊だから。
内部では、対流・自転・差動回転が同時に起き、磁力線が引き伸ばされ、ねじれ、絡み合う。
結果として、磁場の構造は刻一刻と変化していきます。
「天体の磁場は安定しているもの」
という常識が、太陽ではまったく当てはまらないんですね。
太陽磁場の、とくに異質なポイントがこれ。
約11年ごとに、N極とS極が完全に入れ替わるんです。
地球でも磁極反転は起こりますが、その周期は数十万年〜数百万年スケール。
人類の歴史では、ほぼ体験できない現象です。
ところが太陽では、たった11年。
しかもこれは、黒点の増減と連動した、はっきりした周期現象。
磁場が「ゆっくり変わる」のではなく、 定期的にひっくり返る。
これだけでも、太陽磁場がかなり特殊だと分かります。
太陽の磁場は、太陽の表面だけにとどまりません。
太陽風に乗って、磁場は惑星間空間まで引きずり出され、太陽系全体に影響を与えています。
この拡張された磁場は、地球の磁気圏を揺さぶり、オーロラを発生させたり、人工衛星や通信に影響を与えたりもします。
つまり太陽磁場は、 「太陽ローカルな現象」ではなく、宇宙規模の影響力を持つ存在。
スケールの次元が、そもそも違うんですね。
こうして整理してみると、太陽の磁場は
という、三拍子そろった超・個性派。
地球磁場を基準に考えると、「同じ磁場」という言葉で呼んでいいのか迷うほど。
それくらい、太陽の磁場は異質で、ダイナミックな存在なんです。

アラスカ州フェアバンクスのオーロラ
太陽磁場の影響で放出された荷電粒子が地球の磁場に導かれ、大気中の原子や分子と衝突して発光する現象として観測される。
出典:Photo by NASA /Wikimedia Commons Public Domainより
太陽の磁場は、遠い宇宙の出来事……というわけではありません。
実は、地球にも直接・間接に大きな影響を与えています。
見た目には気づきにくいけれど、空の上では、太陽磁場と地球磁場のやり取りが、常に起きているんです。
太陽磁場は「宇宙の背景設定」ではなく、地球環境を動かす現役プレイヤー。
代表的な影響を、3つに分けて見ていきましょう。
極地で見られるオーロラは、太陽磁場の影響が、もっとも分かりやすく目に見える例です。
太陽からは、 太陽風と呼ばれる、電気を帯びた粒子の流れが常に吹き出しています。
この粒子は、太陽磁場をまとった状態で地球へやって来ます。
地球には地球磁場があるため、多くの粒子は弾き返されますが、極付近では磁力線に沿って侵入。
大気中の粒子と衝突して、あの美しい光が生まれるわけです。
つまりオーロラは、 太陽磁場と地球磁場が出会った結果なんですね。
太陽磁場が活発になると、磁気嵐(スペースウェザー)と呼ばれる現象が起こります。
これは、太陽の磁場が乱れ、大量のエネルギーと粒子が一気に放出されることで、地球磁場が大きく揺さぶられる状態。
影響は、決してSFではありません。
といった、 現代インフラに直結する問題が、実際に起こることがあります。
太陽磁場の変化は、宇宙天気予報として、真剣に監視されている理由がここにあります。
意外と見落とされがちですが、太陽磁場は、地球環境の安定にも深く関わっています。
太陽磁場と太陽風の組み合わせは、地球磁場と相互作用することで、有害な宇宙放射線の流入を抑える働きを持っています。
もしこのバランスが崩れれば、大気が削られたり、生命にとって厳しい環境になったりする可能性も。
つまり太陽磁場は、脅威であると同時に、 地球環境を形作る要素の一つでもあるんです。
こうして見ると、太陽磁場は、ただの宇宙の不思議ではありません。
光となって空を彩り、ときに通信を揺さぶり、そして地球を守る。
目には見えないけれど、私たちの暮らしのすぐ上で、太陽磁場は今日も働き続けているんですね。
太陽に磁場が存在する理由ってのはよ、電気を帯びたプラズマが太陽の中でグルグル渦を巻きまわって、デカい電流を生み出してるからなんだぜ!燃えるガスの塊が磁石になってるってのは驚きだよな!そんな太陽の磁場のおかげで、地球にもオーロラみたいな美しい現象が起きてるってのは、まさにロマンの塊だぜ!
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