

燃料電池は「水素から電気をつくる装置」とよく言われますが、じゃあその電気はどれくらいムダなく取り出せているのでしょうか。ここで登場するのがエネルギー効率という考え方です。
効率というのは、「入れたエネルギー」に対して「取り出せたエネルギー」がどれくらいか、という割合のこと。燃料電池では、使った水素のエネルギーと、実際に取り出せた電気エネルギーを比べます。
むずかしそうに聞こえますが、考え方はとてもシンプルです。順番に整理していきましょう。
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燃料電池のエネルギー効率は、次のような式で表せます。
エネルギー効率 = 取り出した電気エネルギー ÷ 水素がもつ化学エネルギー
つまり、「出てきた電気」÷「入れた燃料のエネルギー」です。
取り出した電気エネルギーは、電圧(V)×電流(A)×時間(h)で計算できます。これは学校で習う電力量の式と同じですね。
一方、水素がもつエネルギーは発熱量を使って求めます。水素1モルあたり、あるいは1kgあたりにどれだけのエネルギーが含まれているかは、あらかじめデータとして決まっています。
実はここが少しだけややこしいポイントです。水素の発熱量には、
の2種類があります。
──この違いは「水が液体として出るか、蒸気のままか」という想定の差です。燃料電池の効率を議論するときは、どちらを基準にしているのかを必ず確認する必要があります。
効率を計算するときは、分母に使う発熱量の種類をそろえることがとても重要なのです。
ここを間違えると、同じ装置でも効率が大きく違って見えてしまいます。
エネルギー効率は「取り出した電気」÷「水素の発熱量」で求めます!
では、実際の求め方を流れで確認してみましょう。
──この順番で進めればOKです。
たとえば、ある時間で1kWhの電気を取り出し、そのとき使った水素のエネルギーが2kWh分だったとします。この場合、
1 ÷ 2 = 0.5
つまり50%がエネルギー効率になります。
燃料電池には「理論的にここまで出せる」という理論効率もあります。これは化学反応のギブズエネルギーなどから計算されますが、実際の装置では、
といった要因で効率が下がります。
──だから実測効率は、理論値より少し低くなるのが普通です。
理論値と実測値を比べることで、どれだけロスがあるかが見えてくるのです。
測定→計算→比較の流れで、燃料電池の効率は求められます!
エネルギー効率は、単に数字を出せば終わりではありません。評価の仕方にもコツがあります。
まず、効率は負荷条件によって変わります。小さい電流で運転したときと、大きな出力を出したときでは、効率が違うことが多いのです。
また、燃料電池システム全体で考えるか、セル単体で考えるかでも数字は変わります。ポンプや制御装置などの補機電力を含めるかどうかで、実際の効率は変わってきます。
燃料電池は電気だけでなく熱も出します。この熱を給湯などに利用するコージェネレーションでは、「電気+熱」での総合効率を考えることもあります。
──どちらを評価するのかで、意味が変わってくるわけです。
効率の数字を見るときは、「何を含めた効率か」を必ず確認することが大切です。
同じ装置でも、条件しだいで評価は変わるということですね。
効率は条件や範囲をそろえて比較することが重要です!
ここまでで、燃料電池のエネルギー効率の求め方を整理してきました。
まとめると──
──以上3点が、燃料電池の効率計算の基本です。
数字はシンプルな割り算ですが、その前後には測定や前提条件の確認という大事なステップがあります。
燃料電池のエネルギー効率は、「正しい条件で測ってこそ意味をもつ指標」なのです。
この視点を持っておくと、効率○%という数字を見たときに、その中身まで読み取れるようになるということですね。
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