

「磁石が引っつく」って、あらためて考えてみると、けっこう不思議な現象ですよね。
この正体が磁場──磁石がまわりに作り出している「見えない力の空間」です。
磁石そのものが動いているわけでも、糸で引っ張っているわけでもありません。
空間そのものに、力の性質が生まれている←ここが、ちょっとワクワクするポイントです。
そして面白いのは、この磁場、実は電気と深〜い関係を持っているということ。
磁石だけの話で終わらず、モーターや発電機、私たちの身の回りの電気製品にも、がっつり関わっています。
そこでこのページでは
「磁場って何者なの?」
「電気とはどうつながってるの?」
「結局、どんなところで役に立ってるの?」
そんな疑問を一つずつ拾いながら、 難しい数式なしで、イメージ重視で、スッと理解できるように解説していきます。
読み終わるころには、磁石を見る目が、ちょっとだけ変わっているはずですよ。
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磁場の可視化:馬蹄形磁石と鉄粉
鉄粉が磁場の方向に沿って整列し、磁力線のパターンを示している様子
出典:Photo by Frank Eugene Austin / Public domainより
磁場(じば)とは、その名の通り、磁石のまわりに自然と生まれる「力の場」のことです。
磁石って、くっついたり、逆に押し合って離れたりしますよね。
あの動き、実は偶然でも魔法でもありません。
磁石が作り出す磁場の中に物体が入ることで、引き合いや反発といった現象が起きている
──これが基本的な考え方です。
磁石そのものが意思を持って動いているわけではなく、周囲の空間に「そういう性質」が生まれている。
ここが磁場のいちばん面白いところです。

棒磁石の周囲に形成される磁場の模様
砂鉄が磁場の方向に沿って整列し、磁力線のパターンを示している様子
出典:Title『Iron-filings-around-magnet』-Photo by Benjamin Crowell / Wikimedia Commons CC BY-SA 2.0より
では、イメージしやすい例で見てみましょう。
棒磁石の上に紙を置いて、その上から砂鉄をパラパラっとまくと……
あっという間に、きれいな模様が浮かび上がりますよね。
この模様、実は磁場の流れを砂鉄がなぞってくれている状態です。
よく「磁力線」と呼ばれますが、本当に線が存在しているわけではありません。
磁場という見えない性質を、 砂鉄が“見える形”に翻訳してくれている、そんなイメージです。
普段は見えない磁場が、一気に実感できる瞬間。
理科の実験で定番なのも、ちゃんと理由があるんですね。
磁石といえば欠かせないのが、N極とS極。
この2つの極も、磁場を理解するうえでの基本中の基本です。
このルール、実は磁石の気分ではなく、 磁場の性質そのものが決めています。
磁場は、N極から外へ出て、空間を通ってS極へ戻る──そんな流れを作ろうとします。
その流れに逆らう配置になると押し合い、自然な流れになると引き合う。
だからこそ、毎回同じ結果になるわけです。
磁石のふるまいを見ているつもりが、実は空間に広がる磁場のルールを見ている。
そう考えると、磁石の世界がちょっと立体的に見えてきますよね。

電流が作る磁場の模式図
直線導線に電流が流れると、その周囲に円形の磁場が形成される様子を示す図。右ねじの法則により磁場の方向が決定される。
実はこの磁場、磁石だけのものではありません。
電気(電流)が流れるだけでも、磁場は生まれます。
ここが、電気と磁場の関係を理解するうえで、いちばん大事な入口です。
まずは、この関係をシンプルに整理しておきましょう。
一方が原因で、もう一方が結果。
電気と磁場は、そんな相互関係にあります。
ではまず、「電気 → 磁場」という流れから見ていきましょう。
たとえば、まっすぐな電線に電流を流すとどうなるか。
実はこの瞬間、電線のまわりの空間に磁場が生まれます。
ここで重要なのが、この現象は偶然ではなく、 アンペールの法則としてきちんと整理されている、という点です。
アンペールの法則が教えてくれるのは、 電流が流れる場所のまわりには、必ず磁場ができるという事実。
しかもその磁場は、ただボワッと広がるのではありません。
特徴的なのが、 電線を中心に、ぐるぐると円を描くような形になること。
これをイメージしやすくしてくれるのが、 右ねじの法則です。
やり方はとてもシンプル。
このとき、指が描くカーブの向きが、磁場が回り込む方向になります。
電流の向きが変われば、磁場の回り方も反転。
画像に描かれている渦巻き状の矢印は、まさにこのアンペールの法則で決まる磁場の向きを表しています。
つまり、電流の向きと磁場の向きは、ワンセットで決まる。
これが、電気と磁場の最初の基本ルールです。
次は逆向き、「磁場 → 電気」の流れを見てみましょう。
ここで登場するのが、 ファラデーの電磁誘導です。
まず大事な前提として、磁石や磁場が、ただそこに存在しているだけでは、電気は生まれません。
ポイントになるのは、 磁場が変化すること。
たとえば、コイルの近くで磁石を前後に動かすと、コイルの中を通る磁場の量や向きが変わります。
するとその変化に反応して、 コイルの中に電流が流れ出す。
これが、ファラデーが見つけた電磁誘導という現象です。
「磁場を動かすと、電気が生まれる」
というルールは、発電の世界では超・重要。
発電機が回転して電気を作れるのも、磁石やコイルを動かして、 磁場を連続的に変化させているからです。
アンペールの法則が「電気が磁場を生む」ルールなら、ファラデーの電磁誘導は「磁場が電気を生む」ルール。この2つがそろって、電気と磁場は、お互いに行き来できる存在だとわかるんですね。
磁場はただの付属品ではありません。
磁場は「電気を生み、同時に電気によって生み出される力」なんです。
電線、モーター、発電機、家電製品。
私たちの生活を支える電気の正体をたどると、必ずこの磁場との関係に行き着きます。
電気と磁場は、切り離せない相棒。
そう思って見てみると、身の回りの機械が、少しだけ立体的に見えてきますよ。

磁気ストライプ付きホテルキーカード
ホテルの客室キーとして使用される磁気ストライプカード。磁場を利用した情報の保存と読み取りの代表的な応用例で、裏面の黒い磁気ストライプに宿泊者の情報が記録されています。
出典:Title『Magnetic stripe card - hotel key card』- Photo by Jackie / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より
磁場は目に見えません。
でも実は、私たちの身近なところで、当たり前のように使われています。
理科の実験だけの話ではなく、 磁場は「動かす・生み出す・読み取る」ための力として、日常に深く入り込んでいるんです。
まずは、代表的な使われ方を見てみましょう。
ここから、それぞれをもう少しだけ掘り下げてみます。
モーターは、電気 → 磁場 → 回転という流れを利用した装置です。
電流を流すと磁場が生まれ、その磁場どうしが引き合ったり反発したりすることで、中の部品がクルクル回ります。
扇風機、洗濯機、エアコン、パソコンの冷却ファン。
動いている家電の中には、ほぼ必ずモーターが入っています。
つまりそこには、必ず磁場が働いているということですね。
発電機は、モーターの逆。
磁場を動かして、電気を生み出す装置です。
磁石やコイルを回転させて、磁場を変化させることで電流を発生させます。
これはファラデーの電磁誘導そのもの。
発電所で作られる電気も、根っこをたどれば、磁場の変化から生まれています。
クレジットカードやホテルのキーカード。
裏面にある黒い帯が、磁気ストライプです。
この部分には、磁場の向きや並び方として情報が記録されています。
カードリーダーは、その磁場の変化を読み取って、「誰のカードか」「使っていいか」を判断しているんですね。
見た目はただのカード。
でも中身は、磁場を使った情報技術です。
病院で使われるMRI(磁気共鳴画像装置)は、磁場をとても高度に利用した医療機器。
非常に強い磁場を作り出し、体内の原子の反応を読み取ることで、体を切らずに内部の様子を画像化します。
「磁石で体を調べる」と聞くと不思議ですが、磁場の性質を突き詰めた結果、ここまでできるようになったわけです。
こうして見てみると、磁場は決して特別な存在ではありません。
家電・エネルギー・情報・医療。
分野は違っても、その裏側では、磁場が同じように働いています。
目には見えないけれど、確かに支えている力。
それが磁場なんですね。
磁石の力って不思議だけどよ、実は「磁場」っていう見えねぇ空間のチカラだったんだぜ!電気ともガッチリつながってて、今の暮らしには欠かせねぇ存在だ!磁場のスゴさ、ちょっとは感じ取れたか?
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