

雷って、「空があればどこにでも落ちる」
そんなイメージ、ありませんか?
でも実はこれ、 かなり偏りのある自然現象なんです。
世界を見渡してみると、 雷がバンバン発生する地域と、 びっくりするほど静かな地域が、はっきり分かれています。
「雷のメッカ」と「雷の平和地帯」
その差はいったい何で決まるのか。
運や偶然……ではありません。
カギを握るのは、 気候、 地形、そして水蒸気の量。
この3つの組み合わせです。
つまるところ、 雷は「雲が育ちやすい環境」がそろっている場所に集中して発生し、条件が欠ける地域ではほとんど姿を見せない現象なのです。
これから先では
そんな疑問を、 気象の視点から順番にひもといていきます。
「雷が多い国」と聞いて、思い浮かべた場所は当たっているのか。
それとも、意外な伏兵がいるのか。
空の個性を知ると、雷の見え方も、ちょっと変わってきますよ。
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マラカイボ湖に現れるカタトゥンボ雷
カタトゥンボ川が注ぐ湖の南西部で、夜間に稲妻が連発する現象。
世界屈指の雷多発ゾーンとして知られ、遠方からも空が断続的に発光して見える。
出典:『Relampago del catatumbo observado desde bachaquero-2』-Photo by Ruzhugo27/Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0
雷がよく発生するのは、ズバリ
「暑くて・湿気が多くて・上昇気流がバンバン起きる」地域です。
この条件がそろうと、積乱雲が育ちやすくなり、空はほぼ毎日のようにスタンバイ状態。
特に雷が多いことで知られているのが、次の地域です。
それぞれ、なぜそこまで雷が多くなるのか。
ここからは、地域ごとの理由をもう少しだけ掘り下げていきます。
マラカイボ湖周辺は、世界でもっとも雷が多い場所として知られています。
湖のまわりは一年を通して高温多湿。
さらに、昼夜の温度差や地形の影響で、 強い上昇気流が毎日のように発生します。
その結果、積乱雲がほぼ日課レベルで誕生。 年間200日以上も雷が発生する、まさに“常設雷フィールド”です。
コンゴ盆地は、熱帯雨林・高温・高湿度がそろった地域。
空気中の水蒸気量がとにかく多く、地表が強くあたためられるため、上昇気流が非常に活発です。
雲が育たない理由が見当たらない。
そんな環境なので、雷が頻発するのも、ある意味当然なんですね。
東南アジアでは、モンスーン(季節風)の影響で、湿った空気が大量に流れ込みます。
しかも赤道付近。
気温は高く、地表はしっかりあたためられる。
その結果、 積乱雲が次々と発達し、雷が日常風景の一部になります。
「午後になるとゴロゴロしがち」
──そんな地域も少なくありません。
フロリダ州は、三方を海に囲まれた地形がポイント。
海から流れ込む湿った空気と、内陸であたためられた空気がぶつかり、 強烈な上昇気流が生まれます。
特に夏は、ほぼ毎日のように積乱雲が発達。
タンパ周辺は、「雷の都」と呼ばれるほどです。
つまるところ、雷が多い地域とは「積乱雲が毎日のように育つ環境」が完成している場所であり、雷は特別な現象ではなく日常の一部なのです。
これらの地域では、空の上で雷の発電所が
ほぼ休みなく稼働中。
雷が多いか少ないかは、偶然ではなく、 空の環境が決めているというわけですね。

西南極の白い大地とマーフィー山の遠景
極寒で水蒸気が乏しく、積乱雲が育ちにくい環境が広がる。
対流が弱いため雷雨が成立しづらく、落雷がほぼ起きない地域として知られる。
出典:『Mt Murphy, Antarctica』-Photo by NASA/Kathryn Hansen/Wikimedia Commons Public domain
一方で、世界には
「ほとんど雷を見かけない場所」
というのも、ちゃんと存在します。
雷が起きにくい地域には、ある意味わかりやすい共通点があります。
まずは代表例を見てみましょう。
雷が少ない理由は、「たまたま」ではありません。
それぞれの地域ごとに、きちんとした背景があります。
極地は、とにかく寒い。
これに尽きます。
気温が低すぎるため、 空気中に水蒸気がほとんど存在できません。
雲の材料そのものが不足している状態です。
その結果、積乱雲が育つ余地がなく、雷が発生するチャンスも、ほぼゼロに近くなります。
砂漠地帯は、雨が少なく、湿気も極端に少ない環境。
日中は暑くなっても、空気に水分がなければ、雲はなかなか作れません。
上昇気流が起きても、「育つ雲がない」。
これが、雷がほとんど発生しない理由です。
日本の冬、太平洋側は
カラッと晴れる日が多くなります。
大陸から吹き出す冷たい空気は、山を越える途中で水分を落とし、太平洋側に来るころには乾燥気味。
そのため、 雷雲ができにくい安定した大気状態が続きます。
冬に雷をあまり聞かないのは、このためなんですね。
まとめると、「空気中の水分が少ない」「上昇気流が弱い」環境では、積乱雲が育たず、雷はほとんど発生しません。
雷が多い地域と少ない地域。
その差を分けているのは、派手さではなく、 空の中身。
空気の性質を知ると、雷が鳴る・鳴らないの理由も、ぐっと見えやすくなりますね。

日本海の雪雲帯(JPCZ)
冬の季節風でできる筋状雲が収束し、北陸の「雪おこし」「鰤起こし」級の冬の雷を呼び込みやすい。
出典:『2018-01-23 Sea of Japan cold wave convergence zone by Aqua』-Photo by NASA (Aqua/MODIS), Peka/Wikimedia Commons Public domain
実は日本国内でも、雷の多さにはかなりはっきりした地域差があります。
全国どこでも同じように鳴る……
というわけではありません。
まずは、ざっくり分類から見てみましょう。
では、なぜこんな差が生まれるのか。
ここからは、日本特有の事情を踏まえて整理していきます。
北陸地方をはじめとする日本海側は、冬でも雷が多いことで知られています。
理由はシンプルで、 日本海の暖かい海面と、 上空に流れ込む冷たい空気の温度差。
この組み合わせによって、冬でも積乱雲が発達しやすくなります。
いわゆる「雪おこし」「鰤起こし」の雷ですね。
冬=雷がない、というイメージが通用しないのが、日本海側の特徴です。
関東平野の内陸部では、夏の午後から夕方にかけて雷が増えます。
日中に地表が強くあたためられ、山沿いで発生した上昇気流が合流。
そこに湿った空気が加わることで、積乱雲が一気に成長します。
「昼は晴れてたのに、夕方いきなりゴロゴロ」
──関東あるあるですね。
一方で、冬の太平洋側は比較的静か。
大陸からの冷たい空気は、山を越える途中で水分を落とし、太平洋側では乾いた空気になります。
そのため、 雲が育ちにくく、雷雲もできにくい。
冬に晴天が続きやすいのは、この仕組みのおかげです。
つまるところ、日本で雷が多いか少ないかは「海・山・季節」が生み出す空気の動き次第で決まり、上昇気流と湿気がそろう場所ほど雷は発生しやすくなります。
特に注意したいのは、 夏の午後と 冬の日本海側。
山に囲まれ、湿った空気が集まりやすい地域では、雷は「突然ドカン」とやってきます。
日本の雷は、地域と季節を知っておくことで、ぐっと予測しやすくなるんですね。
オレ様がド派手に暴れるのはよォ、ムシムシジメジメで雲がモクモク育つ場所なんだわ!ベネズエラとかアフリカとか、マジで最高のステージよ!逆に乾燥地とか極寒地?あんなとこ、退屈すぎてやってらんねぇなッ!
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