水力発電所の立地条件:森林伐採は必須なの?対策は?

水力発電の立地条件

ダム建設に伴い一定の森林伐採が行われる場合がある。だが必ずしも大規模な伐採が必要とは限らない。環境配慮設計や植林活動によって、影響を最小限に抑える工夫がなされている。

水力発電所の立地条件:森林伐採は必須なの?対策は?

水力発電は、川やダムの水が持つ「落ちる力」「流れる力」を使って電気をつくる発電です。
でも、どこにでも作れるわけではなく、場所の条件がそろってはじめて安定して動きます。


そこでこの記事では、水力発電に必要な3つの立地条件を、身近なたとえも交えながら整理していきます。
そして最後は、工事や自然への影響で話題になりやすい森林伐採対策にも触れて、「じゃあどう考えればいいの?」をスッキリさせます。



条件①落差:水を落としてパワーを取り出す

まず大事なのは、水が「高いところから低いところへ落ちる」ことです。
というのも、水力発電は水の動きでタービン(羽根車)を回して、その回転で電気を生み出すため、落ちる勢いが強いほど取り出せる力が増えるからです。


たとえば同じ量の水でも、「ゆるい坂をゆっくり下る」より「急な坂をドーンと落ちる」ほうが、勢いが出そうですよね。
だからこそ落差が取れる場所は、昔から水力発電の候補として注目されてきました。


落差が作りやすい場所の例をまとめると、こんな感じです。


  • 山あいの川や谷:自然の高低差が大きい。
  • ダム:水をためて高さをつくりやすい。
  • 用水路の落ち込み:小さな落差でも数を組み合わせられる。


──こうした場所は「水を落とす仕掛け」を作りやすいので、発電に向きやすいのです。


落差があるほど、発電はラクになる?

ただし、落差さえ大きければ何でもOKというわけではありません。
落差が大きい場所は山の中になりやすく、道路を作ったり機械を運んだりするコストが増えることもあるからです。


また、落差が大きいほど水が速く動くので、設備にかかる力も強くなります。
そのぶん、部品の丈夫さや点検のしやすさも大切になってくるわけですね。


落差が大きい場所ほど工事が大規模になりやすく、崖くずれや土砂流出への対策がセットで必要になります。
ようするに、つまり落差は水力発電の「パワーの源」ですが、同時に工事のむずかしさも連れてくる条件だと言えます。


落差が取れる場所は水力発電の出力を伸ばしやすい一方で、工事や安全面の条件も一緒に見ておくのがコツです!


条件②水量:一年を通して水が安定して流れる

次に重要なのが、水の量です。
いくら落差があっても、水がちょろちょろしか流れていなければ、回せるタービンの力も小さくなり、発電できる電気は増えません。


ここでポイントになるのが、瞬間的な水の量ではなく「一年を通じた安定感」です。
つまり、雨が多い季節だけ強くて、他の季節はカラカラ……だと、発電が止まりやすくなってしまいます。


安定した水量が期待しやすい場所は、だいたい次のような特徴があります。


  • 流域が広い川:上流から集まる水が多くなりやすい。
  • 雪どけ水がある地域:春から初夏にかけて流れが続きやすい。
  • 貯水できる施設がある:水をためて調整しやすい。


──この条件がそろうと、「今日は発電できる?できない?」のブレが小さくなります。


雨が多い場所なら安心、とは限らない

しかもやっかいなのが、雨が多いこと自体は良い面も悪い面もあることです。
雨が多いと水量は増えますが、増えすぎると洪水の危険が上がり、設備を守るために運転を止める場面も出てきます。


逆に言えば、雨が少ない時期は渇水で発電量が落ちやすくなります。
だからこそダムなどでは、水の量を調整するための貯水や放流のルールが大切になってくるのです。


ここで一つ、覚えやすいまとめを置いておきます。
いわば水量は「発電のガソリン」みたいなもので、安定して入ってくるかどうかが発電の安定性を決めます。


水量は「多いか」だけでなく「安定しているか」が重要で、季節や雨のふり方までセットで見るのがポイントです!


条件③地形と周辺環境:作れる・送れる・守れる場所か

最後は少し現実的な話で、「そこに発電所を作って、電気を届け続けられるか」という条件です。
というのも、水力発電は水があっても、発電所そのものを安全に置けなかったり、電気を運ぶ道が遠すぎたりすると、うまく成り立たないからです。


まずチェックされやすいのは次の2点です。


  • 地形や地盤
  • 周辺の暮らしとの距離感


たとえば土が崩れやすい場所だと、設備を守るための工事が増えますし、近くに家や学校があるなら、工事の時間や車の通り方にも配慮が必要になります。


以上を加味した上で、立地として見られるポイントを、いったん整理するとこうです。


  1. 地盤が安定している:大きな設備を支えられる。
  2. 工事や点検の道が確保できる:機械や人が入れる。
  3. 送電しやすい:電気を運ぶ送電線に近い、またはルートが取れる。


──この3つがそろうと、「作って終わり」ではなく「動かし続ける」まで現実的になります。


環境への配慮は、立地条件の一部

そして、ここで外せないのが自然への影響です。
水の流れを変えると、魚の移動や川の生き物のすみかが変わることがあるので、計画の段階で環境影響評価などを通して調べ、対策を考えます。


また、発電所の建設で木を切る場面があるなら、森林伐採対策もセットで考えないといけません。
たとえば「必要な範囲だけに絞る」「法面(のりめん)を植物でおさえる」「工事のあとに植生を回復させる」など、やり方はいろいろあります。


森林を切りすぎると土が流れやすくなり、結果として川に土砂がたまり、発電にも暮らしにも影響が出ることがあります。
だからこそ、単に「作れる場所」ではなく、守りながら運用できる場所かどうかが大切です。


まとめれば、条件③は「作れる・送れる・自然と暮らしを守れる」の三点セットがそろうかどうかです。


地形や送電のしやすさだけでなく、環境への配慮や森林伐採対策まで含めて立地条件として見ておくのが大事です!


 


以上「水力発電に必要な3つの立地条件」というテーマでお話してきました。
落差や水量だけに目がいきがちですが、実は「作って動かし続けられるか」までが立地条件の本体でした。


まとめると──


  1. 条件①は落差で、水を落としてタービンを回すパワーを作る。
  2. 条件②は水量で、一年を通した安定性が発電量を左右する。
  3. 条件③は地形と周辺環境で、送電や工事、森林伐採対策まで含めて判断する。


──以上3点がそろうと、水力発電は「その土地の力を長く借りる」発電として、とても頼もしい存在になります。
逆に言えば、どれか一つでも欠けると、工事が増えたり、発電が不安定になったりして、ムリが出やすくなるのです。
ようするに、立地条件は「たくさん作るため」ではなく「ちゃんと続けるため」のチェック項目なんですね。