電気を出す動物

電気を出す動物

電気を出す動物は、自然界で電気を巧みに利用する仕組みを持っている。これらの生物の発電方法を研究することで、バイオミメティクスや新たなエネルギー技術のヒントが得られる。生き物の電気利用は、科学や工学への応用が期待されている。

電気を出す動物を知る、それは「生体電流の可能性」を知る事

真っ暗な川の中。
音もなく近づいてくる気配。
その瞬間──ビリビリッ!


実は自然界には、電気を出して身を守ったり、獲物をしとめたりする動物たちが存在します。
しかも驚くことに、その仕組みは、人間が作った発電機ととてもよく似ているんです。


「生き物が電気を出すって、どういうこと?」
「そもそも、どんな動物がそんな力を持っているの?」
「危なくないの?どうやってコントロールしてるの?」


そんな疑問が、きっと頭に浮かびますよね。
でもご安心ください。
このページでは、電気のむずかしい話にいきなり飛び込むことはしません。


まずは、生き物の目線で。
仕組みはできるだけシンプルに。
そして、少しワクワクしながら。


電気を出す動物たちの世界を、ひとつずつ見ていきましょう。
「電気=危ないもの」というイメージが、きっと少し変わるはずです。



電気を出すってどういうこと?

デンキウナギ(Electrophorus electricus)の写真

デンキウナギ
南米の淡水域に生息し、獲物の捕獲や外敵からの防御、周囲の環境の感知のために放電能力がある

出典:David J. Stang / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


 


まず、「動物が電気を出す」ってどういうこと?
ここで、ほとんどの人が一度は立ち止まりますよね。
生き物が感電させるなんて、ちょっと不思議。


でも実はこれは、魔法でも超能力でもありません。 体の中に「発電細胞(でんきさいぼう)」を持っている──ただそれだけなんです。


これらの発電細胞は、筋肉細胞が変化したもの。
そして、その細胞の中で化学反応が起こることで、電気が生まれます。
つまり、電気を作る材料は、特別なものではなく、体の中にある成分。


ここで、人間の体と比べてみましょう。
実は人間の筋肉や神経も、動くときにはごく弱い電気を使っています。
歩く、考える、まばたきをする──そのすべてに電気が関わっているんですね。


ただし違いがあります。 電気を出す動物たちは、その電気を


  • 体の外へ。
  • 一気に。
  • 狙って放つ。


──ここまでできてしまうんです。
この差が、とても大きいです。


しかも彼らは、必要なときだけ電気を発生させ、使わないときはちゃんと節電もする。
かなり優秀な仕組みです。


電気を出す動物は、体の中に「発電装置」を持っている
──そう考えると、イメージしやすくなります。


つまり彼らは、 生きたバッテリー
しかも、壊れにくく、自己修復までできる高性能タイプなんですね。


動物が電気を出す仕組みは、体の中で起こる自然な反応なんです!


どんな動物が電気を出すの?

自然界には、実にさまざまな発電動物が存在します。
ひとことで「電気を出す」と言っても、その強さや目的、使い方はそれぞれ少しずつ違います。
攻撃に使うものもいれば、身を守るためのもの、周囲を感じ取るために使うものもある。
同じ電気でも、役割は本当に多彩なんですね。


そこでここでは、発電動物の中でも特に知られている代表例を取り上げて、「どんな電気を、どんな場面で使っているのか」を見ていきます。


紹介するのは、次の5種類です。


  • デンキウナギ
  • デンキナマズ
  • モルミルス
  • シビレエイ
  • ジムナーカス


──いずれも、電気という力を、それぞれ独自の方向性でうまく生かして生きている動物たち。
ただ強いだけではなく、環境や暮らし方に合わせて、とても合理的な使い方をしているのがポイントです。


それぞれの特徴を知っていくと、
「電気って、こんな使い方もあるんだ」と、
自然界の工夫にちょっと感心してしまうかもしれません。


では順番に、ひとつずつ見ていきましょう。


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デンキウナギ

Electric eel (cropped)

デンキウナギ
電気を発する能力を持つ淡水魚で、南米のアマゾン川流域に生息

出典:Title『Electric-eel』-Photo by Steven G. Johnson / Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より


 


デンキウナギは、南米のアマゾン川流域に生息する、代表的な強電気魚です。
細長い体をしていますが、その中には驚くほど強力な能力が隠れています。


最大で約800Vという高い電圧を発生させることができ、自然界ではかなり特別な存在。
水中では、この電気が身を守る武器や、獲物をしとめる手段として使われます。


体の大きさも特徴的で、成長すると体長は2.5mに達することもあります。
そして発電の要となる器官は、体の後半部に集中して配置されています。


デンキウナギの体は、電気を生み出すことに特化して進化してきた
──そんな言い方がぴったりですね。


デンキウナギは、高電圧を武器に生き抜く自然界屈指の電気魚です!


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デンキナマズ

Malapterurus electricus

デンキナマズ
アフリカの淡水域に生息し、最大で450ボルトの電気を発する能力を持つナマズ科の魚

出典:Title『Malapterurus_electricus』-Photo by Stan Shebs/GNU Free Documentation License,Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より


 


デンキナマズは、アフリカの川や湖などの淡水域に生息する強電気魚です。
見た目はおだやかですが、体内にはしっかりとした電気の仕組みを備えています。


最大で約450Vの電気を発生させることができ、水中では十分に強力。
敵に近づかれたときには、電気ショックで身を守ります。


特徴的なのが、発電器官の位置です。
デンキナマズの発電器官は、体の一部ではなく、体表を包むように広がって発達しています。
そのため、どの方向にも電気を放ちやすい構造になっています。


さらに、 頭部がマイナス極尾部がプラス極というはっきりした極性を持つのもポイント。


デンキナマズは、体全体で電気を放つ仕組みを持つ魚
──そんなイメージがぴったりです。


デンキナマズは、全身を使って電気で身を守る電気魚です!


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モルミルス

Mormyrus rume proboscirostris

モルミルス
アフリカの淡水域に生息し、象の鼻のような口先を持つ特徴的な魚

出典:Photo by MM. P. J. Smit & J. Green / public domainより


 


モルミルスは、アフリカの川や湖などの淡水域に生息する弱電気魚です。
名前はあまり知られていませんが、電気の使い方はとても洗練されています。


発生させる電気は1V以下とごくわずか。
ビリッと攻撃するほどの強さはありません。
その代わり、この微弱な電気を使って、周囲の様子を感じ取ったり、仲間とやり取りしたりします。


つまり──
モルミルスにとって電気は「武器」ではなく「センサー」。


  • 暗い水中で障害物の位置を知る電気定位
  • 仲間同士で信号を送り合う電気通信


──こんな使い方が中心になります。
視界のきかない環境でも、電気があれば問題なし、というわけです。


発電器官は尾部にあり、そこから一定のリズムで電気を発します。
その電気の乱れを体表の感覚器で読み取ることで、周囲の世界を把握しています。


モルミルスは、電気で「見る」「話す」魚
──この表現がいちばんしっくりきます。


モルミルスは、微弱な電気を情報として使いこなす、賢い電気魚です!


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シビレエイ

Torpedo panthera

ヒョウモンシビレエイ
インド洋や紅海に生息し、独特の斑点模様を持つシビレエイの一種。発電器官を使って獲物を麻痺させる。

出典:Photo by Kora27 / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


 


シビレエイは、日本近海を含むさまざまな海域に生息する強電気魚です。
円盤のような体つきですが、見た目に反して、しっかりと電気の力を備えています。


特徴は、頭部に一対の発電器官を持っていること。
ここから最大で約80Vの電気を発生させ、身を守ったり獲物を弱らせたりします。


そして面白いのが、その歴史的な使われ方。
なんと古代ギリシャやローマの時代には、しびれによる感覚のまひを利用して、痛みを和らげる麻酔のような用途に使われていた記録もあります。


シビレエイは、電気の作用が人に知られた最古級の動物
──そんな存在とも言えますね。


シビレエイは、電気を武器にも医療的知恵にも結びつけた、不思議な魚です!


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ジムナーカス

Gymnarchus niloticus

ジムナーカス
アフリカの淡水域に生息する電気魚で、長く細い体と独特の泳ぎ方が特徴。

出典:Title『Gymnarchus niloticus005』-Photo by Wiki-Harfus; modified by Wildfeuer /GNU Free Documentation License,Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0より


 


ジムナーカスは、アフリカの川や湖などの淡水域に生息する弱電気魚です。
細長い体をした魚で、見た目は静かそうですが、中身はなかなか一筋縄ではいきません。


発生させる電気はおよそ1~5Vほど。
攻撃に使うほど強くはありませんが、この電気を使って


  • 周囲の障害物を感じ取る電気定位
  • 仲間やライバルとやり取りする電気通信


──といった行動を行っています。
暗く濁った水中でも、電気があれば状況を正確に把握できる、というわけです。


体長は約1.5mに達することもあり、弱電気魚としてはかなり大型。
しかも性格は獰猛で縄張り意識が強いことで知られています。
見えない電気の信号で、しっかり自己主張するタイプですね。


ジムナーカスは、電気を使って周囲を把握し、主張する魚
──そんな表現がぴったりです。


ジムナーカスは、弱い電気を巧みに使いこなす、大型で気の強い電気魚です!


どうやって電気を出してるの?

デンキウナギの3つの電気器官
デンキウナギ(Electrophorus属)に存在する3種類の電気器官の構造図

出典:Photo by Chiswick Chap / Wikimedia Commons CC BY-SA 4.0より


 


電気を出す動物には、「発電板」「発電器官」と呼ばれる特別な器官があります。
ここでは、イオン(電気を持つ粒)を一定の向きに動かすことで、+と−の差を生み出しています。
この差こそが、電気の正体。とてもシンプルですが、かなり洗練された仕組みです。


しかもこの仕組み、実は電池発電機とほとんど同じ考え方で動いています。
生き物なのに、やっていることは工学的。ここが面白いところですね。


ポイントを整理すると、次の通りです。


  1. たくさんの発電細胞直列につながり、高い電圧を作り出す。
  2. 必要な瞬間に、神経の信号で一斉にスイッチオンする。


こんな具合に、仕組みそのものは人間の電気装置とよく似ています。
しかもタイミングの制御まで完璧。無駄打ちはしません。


電気を出す動物は、体の中に完成度の高い電気回路を持っている──そう考えると理解しやすいですね。


つまり彼らは、 体そのものが精密な電気装置
自然が作り上げた、究極のエンジニアリングです。


電気を出す動物の仕組みは、人間の電気技術と驚くほど共通しています!


電気を出す動物たちってよ、体の中に発電装置をガッチリ持った、まさに“生きた発電機”そのものなんだぜ!自然のスゴさを思い知らされるだろ?デンキウナギに会ったら、絶対に油断すんなよ、わかったな!